ProCloud3D: 産業の3Dプリンティング用の保護されたクラウドプラットフォームの構築

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Discover the highlights from the grand finale of the ProCloud3D project

インダストリー4.0とスマートサービスの実現に向けた、中独パートナーシップ

デジタル革命がグローバル経済に浸透していく中で、その影響は製造業にも広がっています。物理的/文化的な国境を越え、データや情報、知識を共有する国や経済には、まだまだ大きな可能性が秘められています。研究者やビジネス関係者の間では、国際協力において、柔軟性の高い製品/製造技術/サービスが果たす役割への関心が高まっています。また、研究拠点やファクトリーモデルを共有することで、持続的かつ建設的な経済協力のための新たな基盤を構築しています。

「インダストリー4.0とスマートサービス」は、科学/研究の戦略的グローバル化、ドイツ教育研究省の「China strategy 2015 to 2020」、および同省の包括的イニシアチブ「Innovations for Tomorrow’s Production, Services, and Work」に関わる、重要な研究テーマです。これらは全て、技術的能力の強化、ドイツと中国の科学的対話の強化、教育/研究の国際化の拡大が目的となっています。中独パートナーシップの推進は、企業や産業全体による、グローバル市場の変化への柔軟な対応、そしてグローバル経済に求められる重大な変化の積極的な形成を後押しする意味をもちます。

背景

産業用アディティブ マニュファクチャリング(以下、AM)により、製造業がグローバル競争の中で、変化する需要へ迅速に対応することが可能となります。このテクノロジーは、金属やプラスチックのプロトタイプ作成だけでなく、新たな産業パラダイムの実現(カスタマイズ製品の大量生産)にも利用されています。

デジタルモデルへのアクセスのみで、製品コピーが簡単に作れてしまうため、特に3Dプリンターで作る製品の設計データは、貴重な資産です。設計者は、製品が不正にコピーされていないかだけでなく、発注数と生産数が一致しているか、正しい仕様で生産しているか、この2点も確認する必要があります。

目的とアプローチ

このプロジェクトの目的は、クラウドベースのプラットフォームの開発です。このプラットフォームは、インダストリー用3Dプリンターのプロセスの準備に必要となるすべてのステップを、完全に自動化/分散/暗号化された形で、実行可能です。これにより、AMサービスを提供する工場は、マシンに必要な生産設計/データのリアルタイム提供が可能となり、保護されたデジタルモデルを、製造サービスプロバイダーに永久/完全に提供する必要はありません。

このプラットフォームには、ウェブフロントエンド、テクノロジーデータベース(プロセスパラメータを含む)、ポストプロセッサ(マシンコードを生成)、ハードウェア/ソフトウェアインターフェイス(プラットフォームと現場の3Dプリンターとの通信に不可欠)、包括的セキュリティインフラ(ソリューション全体を保護)が含まれます。

また、ライセンス管理システムで、関係者間で必要なデータ転送やその他のプロセスステップを、承認/管理/監視し、新たなバリューチェーンを構築します。現在、ライブデモンストレーションシステムの構築が進められており、デジタル3Dモデルからクラウドを経由し、AMプロバイダーへ至るまでの一連の流れを体験できる予定です。

イノベーションと今後の展望

このプロジェクトでは、3Dプリンターテクノロジー特有の機能を利用することで、潜在的なエンドユーザーの不安の解消します。また、知的財産の安全性や競争力の維持に対する懸念をなくし、インダストリー用3Dプリンターサービスの外部プロバイダーによる利用の促進しています。

成果

ProCloud3Dプロジェクトの全体目標は、クラウドベースのプラットフォームを開発・テストすることにありました。3Dプリントプロセスの準備と実行に必要となるすべてのステップが、分散・暗号化された方法で管理されることを、プラットフォームで目指していました。

この目標を達成するため、今回、新型のプラットフォームが開発されました。プラットフォームでは、材料固有のプロセスパラメーターに基づいて、プリントデータをレイヤーごとに生成し、保護された状態で、3Dプリンターに渡すことができます。このため、生成されたレイヤーデータは、網羅的なセキュリティインフラを含め、さまざまな3Dプリンターで利用できるような形で用意されました。これにより、総合されたライセンス管理における、必要なデータ転送とプロセスのすべてを関係者間で承認・制御・監視できる、保護されたバリューチェーンが構築されました。2つのデモ機も使用され、ユーザーが、企業の利益と独自のセールスポイントを保護しつつ、AM技術により、コンポーネントのプリントを行うサービスプロバイダーを承認する方法が示されました。

本プロジェクトにおいて、Wibu-Systemsは、データ交換の保護、デジタル著作権の管理、印刷時のプリント数の制御など、AMにおけるデータやプロセスチェーン全体に沿った、一貫性のある「リアルタイムのエンドツーエンドのデータ暗号化」の開発を担いました。実際に次のようなコンポーネントを開発しました。

  • デジタル著作権管理(DRM)システム
  • Wibu-Systemsが提供するCodeMeterをベースとした、データやソフトウェアのライセンシングモデル
  • リバースエンジニアリングに対するソフトウェア保護メソッドの改善
  • プラットフォームにおけるライセンス管理とDRMシステムの統合コンセプト
  • リスク分析を含むストリーミングデータの保護コンセプト
  • クラウドプラットフォームおよび3Dプリンター(改ざん防止カウンターを使用)向けの暗号化ライブラリ
  • 3Dプリンターの認証用デジタル証明書の統合

さらに、ProCloud3Dプロジェクトに参加したことで、特に以下の領域にて、製品の改善が図られました。

  • CodeMeter Core API、libcurlの統合、ライセンスのバインドに使用できる機能の環境検出の改善
  • AxProtector JavaScript、.NETアプリケーションの保護、AxProtector Pythonの改善
  • 暗号鍵・デジタル証明書・ライセンスの配布に対するCodeMeter License CentralのゲートウェイとWebDepotの調整、およびハードウェアプラットフォームとCodeMeterファームウェアのサポートに対するCodeMeter RuntimeとCodeMeter Embeddedの調整
  • DRMシステムの開発・統合:デジタル証明書を生成するためのツールの改善。保護ツールCodeMeter APIとAxProtectorの統合。
  • Docker環境での保護の改善

未来であれば、現在は不可能、もしくは、知的財産(IP)や生産管理を失うことでしか可能にならないことであっても、変えることができます。本プロジェクトは、その未来における3Dプリント市場の新たなビジネスモデルを生み出すきっかけになったと言えるでしょう。

コンソーシアムのパートナー

This research and development project is funded by the German Federal Ministry of Education and Research (BMBF) within the Innovations for Tomorrow’s Production, Services, and Work (funding number 02P18X010) and implemented by the Project Management Agency Karlsruhe (PTKA). The author is responsible for the content of this publication.

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