カテゴリ: ライセンシング
TMR - サーバー障害に強いライセンシングシステム
Wibu-Systemsは、30年以上にわたり、ソフトウェアの保護・ライセンシング・セキュリティを専門に扱ってきました。ユーザーを中心に据え、常にユーザーのニーズに耳を傾けるよう心掛け、特にソフトウェア機能のライセンシングに力を注いできました。
なぜソフトウェアへのライセンシングが必要なのでしょうか?ライセンスは、開発者の知的財産(IP)を保護し、その保護されたソフトウェアが正常に動作することを確認するために使用されます。従って、ライセンスサーバーの故障は最悪の事態を招きかねず、生産ライン全体の停止につながる恐れがあります。そこで、不注意によるミスを防止し(フェイルプルーフ)、可用性の高いライセンス環境を実現するため、Wibu-SystemsはCodeMeter TMRを開発しました。
TMRはTriple Mode Redundancyの略であり、2-out-of-3ライセンスの概念と、耐久性と信頼性の高いデータセンターテクノロジの組み合わせを意味します。3つのライセンスサーバーのグループが1つの共同システムとして動作し、3つのサーバーのうち2つが利用可能である限り、システム全体が稼働し続けます。
CodeMeter TMRは、以下のユースケースに役立ちます。
- 製造業: 自動化された生産ラインで、ライセンスサーバーが失われるとダウンタイムが発生し、多大な機会損失が生じる恐れのあるケース
- ミッションクリティカルなアプリケーション: ヘルスケア、金融、インフラ管理など、ライセンスサーバーの高可用性に頼るソフトウェアを扱うケース
- グローバル展開: 複数の地域にまたがって事業を展開する上で、ある特定の地域で障害が発生した場合においても、一貫したライセンシングが必要であるケース
TMRを設定(TMR Setup)することで、CodeMeterとCodeMeter License Centralとの間に、緻密に階層化され調整された相互作用が生じます。これは、効果的なライセンスの可用性、ライセンスの監視、効率的な負荷分散を実現するためのものです。
- ライセンスの可用性: サーバーの故障や修理が必要な場合でも、システムは稼働し続けなければなりません(冗長インフラ)。ライセンスが使用できない場合、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)はCodeMeter License Centralに統合されたワークフローでライセンスを再発行することができ、すべての同期が正常に行われます。
- ライセンスの監視: すべての有料ライセンスに付随した機能であり、常に利用可能です(共有サーバー間でリンクされたライセンスとして)。ライセンス保護は、現場のユーザーに追加のライセンス、権限またはエンタイトルメントの発行を強いることなく、安全が保証されます。これにより、ベンダーはライセンスのタイプと制限範囲をまとめて管理することができます。
2-out-of-3のコンセプト
前述のすべてを可能にするには、TMR Setupが必要となります。TMR Setupは、通常仮想マシンとして稼働する5つのサーバーで構成されています。そのうちの2つは、ユーザークライアント(ここでは「TMRサーバー」)へのインターフェイスとして、残りの3つは、ユーザークライアントからのライセンスクエリーを受信するバックエンドサーバーとして動作します。
TMR Setupは、ネットワーク内に単一の仮想IPアドレスを持ちます。そのアドレスを介して、すべてのクエリーが、その時点でアクティブなTMRサーバーに転送されます。一方でTMRサーバーに到達できない場合には、標準規格に基づき、もう1つのTMRサーバーが待機状態からアクティブ状態に切り替わります。それでもアクティブなTMRサーバーに到達できない場合、スタンバイサーバーが、仮想IPアドレスに送信される全パッケージを受信したい旨をシステムに通知し、自動的にアクティブなサーバーへと切り替わります。また、それまでアクティブなサーバーとしての役割を果たしていたサーバーは、再び到達可能な状態になり次第、スタンバイサーバーに戻ることになります。
これらの処理は、双方のTMRサーバーにインストールされ稼働するKeepalivedデーモンによって行われます。アクティブなサーバーの状態は常に同期されているため、状態の切り替えはいつでも可能です。さらに、アクティブなデータはすべて複製されます。
TMRサーバーの背後で動く3つのCodeMeterバックエンドサーバーは、LinuxまたはWindows上のCodeMeterネットワークサーバーとして構成されています。これらのサーバーは、TMRサーバーからの指示を受信します。
TMR Setupにおけるライセンス
TMR Setupで使用するCodeMeterライセンスには、高可用性環境では動作しない通常のライセンスとは異なる一連の条件が適用されます。従って、特別のフラグTMR-Idが付与されています。TMR-Idは、ライセンス数量の追加プロパティであり、2-out-of-3のコンセプトのもと採用された3つのライセンスを明確に識別するために使用されます。ライセンスが1つのTMRライセンスを形成するには、ファームコード、プロダクトコード、およびTMR-Idのすべてが同一である必要があります。同様に、プロダクトアイテムの他のすべてのプロパティは、3つのライセンスすべてで同じです。また3つのライセンスは、同じ CmActIdを持つ3つの別々のCmContainerに配置されます。
TMR SetupにTMRライセンスを追加すると、TMRサーバーは、同じCmActIdを有するすべてのCmContainerを1つの仮想CmContainerに統合し、131から始まる標準シリアル番号を付与します。ユーザーには、このコンテナのみが表示されます。TMRライセンスが有効で利用可能であるためには、2つ以上が利用可能である必要があります。3つのうち1つしか利用できない場合、TMRライセンスは仮想CmContainerに表示されません。従って、TMRライセンスとコンテナをそれぞれ1つしか持たない悪意ある攻撃者は、TMRライセンスを使用することはできません。またCodeMeterサーバーは、TMR-Idを持つライセンスの悪用を防止する機能も備えています。これらのライセンスは、TMRクラスターでのみ使用可能です。
CodeMeter WebAdminの設定により、TMRライセンスはIPアドレス経由でバックエンドサーバーに渡されます。
つまり、突発的な障害や定期的なメンテナンスにおいても、ライセンス処理は問題なく行うことができます。またバックエンドサーバーの1つに障害が生じたとしても、問題が解決する、またはメンテナンスが完了するまで、他の2つのサーバーを用いてライセンスクエリーの処理が可能です。
いつか起こる障害に備えて
ライセンスの管理ができる上に、障害に強いライセンシングソフトウェアをお探しでしたら、CodeMeter TMRがおすすめです。すでにCodeMeterコンポーネントを使用している場合、必要なインフラさえ用意していただければ、CodeMeter License Centralのグローバル設定で「TMR」をクリックするだけです。TMR Setupのインストールや設定に関して不安なことがあれば、お気軽にWibu-Systemsまでご連絡ください。
KEYnote 46 – Edition Fall/Winter 2023
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