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Wibu-Systemsが大切にする3つの記念日

1989年、2003年、2014年 ー 歴史に残る出来事が起こった年も起こらなかった年もありますが、Wibu-Systemsにとっては、どれもが欠かすことのできない大事な年です。2024年の今年、Wibu-Systemsは、1つではなく「3つ」の記念日を迎えます。会社の誕生、CodeMeterの発売、そして、Blurry Boxの発明です。私たちとともに、ソフトウェアの保護・ライセンシング・セキュリティにおける30年を超える歴史を振り返りましょう。

今から20年前、Wibu-Systemsのエンジニアは、画期的な保護とライセンシングのソリューションを世に生み出そうとしていました。最初に開発されたWibuKeyに代わるだけにとどまらず、会社が抱えるビジネスと、ソフトウェアライセンシングへのアプローチ方法の両方を刷新するような、そんなソリューションでした。それこそが、CodeMeterの始まりです。CmStickと名付けられたUSBデバイスは、カールスルーエ(ドイツ)のクリスマスマーケットで、短期間販売されました。あれから20年、ITの世界は、想像を遥かに超えた変化を遂げましたが、CodeMeterは今でも健在で、専門家に選ばれる保護とライセンシングの技術として、またビジネスを支える存在として、新たな進化の道を歩んでいます。

始まりの物語

CodeMeterには、15年にわたり積み上げられてきた、ソフトウェア保護とライセンシングの技術が詰まっています。コンピューティング技術が世界を賑わせていた中、創業者であるオリバー・ウィンジェンリートマルケルス・ブッフハイトは、ソフトウェアライセンシングに革命を起こすことをミッションに掲げました。ちょうどその頃、Intel 80486は、計算処理能力を大幅に向上させ、VGA(Video Graphics Array)グラフィックスは、その鮮やかな色彩で人々を魅了し、Windows 3.0は、GUI(Graphical User Interface)をエンドユーザーのデファクトスタンダードにしようとしていました。

このように、より多くの人々にコンピューティングの可能性が開かれ、今日まで使われるデジタル技術のもととなるものが多く生まれた時代でした。しかし、同時に新たな脅威も出現しました。特にソフトウェアの違法コピーは、1990年代に深刻な問題となり、産業界にとって大きな痛手となりました。これに対し、開発者たちは、ワンタイムパッドやその他ギミックなど、工夫を凝らした技術で対抗しました。その頃、ウィンジェンリートとブッフハイトもまた、技術的で持続可能なソリューションを打ち出しました。それがWibuKeyです。彼らの姓の頭文字をとって名付けられました。

WibuKeyは、後にCodeMeterへと受け継がれることになる、保護とライセンシングの概念を取り入れました。ライセンスには、暗号化鍵のペアを使用し、セキュリティと、ライセンス規約の遵守を保証します。秘密鍵はライセンスに格納され(CmDongleのようにドングル形式で)、ライセンスが付与されたソフトウェアの実行に使われます。

より強くより安全に

2003年11月16日、WibuKeyの後継としてCodeMeterがリリースされました。長期的な可用性を大事にしているが故に、Wibu-Systemsのレガシーシステムは、現在もポートフォリオに生き続けています。一方、新たな保護とライセンシング技術を備えたCodeMeterは、今も色褪せることなく、舞台に立ち続けています。

20年にわたる絶え間ない革新により、CodeMeterは、市場における先駆的なソリューションの1つとしての地位を確実なものにしてきました。Wibu-Systemsのエンジニアは、シンプルさと本来の使命にふさわしい洗練されたテクノロジーを維持しながら、常にその機能と汎用性の向上に努めています。人気あるCmDongleハードウェアコンテナの製品群は、デザイン賞を獲得した外付けドングルや強力なASICなど、無数の新たなフォームファクターを含むまでに成長しました。また、フットプリントの小さいソフトウェアベースのCmActLicenseから、クラウドコンテナ、そして斬新なライセンスバインディング技術によって、長所を掛け合わせた新たなCmReadyに至るまで、さまざまな種類のコンテナが追加されました。同時に、CodeMeterの内部機能も進化を続け、ほぼすべての開発および利用用途に対応できる新たな暗号化機能や、特に機密性の高いコードを、CmDongleまたはCmCloudContainerのセキュアな環境でのみ実行できるCodeMovingのような最上位レベルの保護ソリューションが加わりました。

そして、CodeMeterの進化における一つの節目が、また新たな記念日となりました。今から10年前、Wibu-Systemsは、CodeMeterの保護機能向上に役立つ、ケルクホフスの原理に基づいた暗号化技術、Blurry Boxを発表しました。この原理を提唱した、19世紀のフランスの暗号学者、アウグスト・ケルクホフス氏は「真のセキュリティは、メカニズムや原理を秘密にすることで得られるものではない。秘密にしておくべきものは、キーである。」と考えました。暗号化マニアにとっては難解に思える問題かもしれませんが、ソフトウェアライセンシングのような実用的な暗号化アプリケーションにとっては、目から鱗が落ちるものでした。これは、「隠蔽によるセキュリティ」が間違った考えであることも示しています。Wibu-Systemsは、パートナーであるカールスルーエ工科大学とFZIとともに、Blurry Boxを開発し、システムの実現に成功しました。さらに、世界規模で行われたハッカーコンテストにおいて、その実力を証明しました。Blurry Boxは、産業界の注目を集め、5th German IT Security Awardなどの賞も獲得しています。

さらにその先へ

Wibu-Systemsは、市場参入から40年目を迎え、新たな製品やサービス、技術的な発明により、日々成長し続けています。ここ数年、Wibu-Systemsでは、高可用性を重視したデータセンターへの投資、Dockerのような一般的な仮想化技術への対応に向けたCodeMeterの機能強化、新たなライセンスコンテナタイプの追加など、クラウドを中心とした技術展開を行っています。CmCloudは、ソフトウェアコンテナやドングルと並列するオプションではありません。新たな次元の移植性と接続性、そして、ハイエンドのCmDongleに匹敵する保護技術により、CmCloudは、CodeMeterライセンシングへの新たな道を切り拓きます。さまざまなサービスパッケージとホスティングオプションとともに、あらゆるユースケースに対応し、これまでに無いソフトウェアビジネスモデルの構築に役立ちます。

そして、Wibu-Systemsは、保護とライセンシングに関連する次の課題へとすでに動き出しています。AIや機械学習(ML)モデルを保護する手段の構築、確立された暗号化解読技術を打ち破る量子コンピューティングの脅威への対抗など、課題は山積みです。カールスルーエの新オフィスに集う優秀な人材と、隣接するHouse of IT Securityを中心としたITセキュリティコミュニティとともに、Wibu-Systemsは、未来への備えを進めています。

  

  

 

KEYnote 47 – Edition Spring/Summer 2024

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