カテゴリ: ソフトウェア保護
CmReadyでライセンス形態に多様性を
ソフトウエア保護とライセンス管理のためのCodeMeterは、ソフトウェア業界で長年にわたり開発者から支持されてきました。そして、そのCodeMeterが、ハードウェア業界へ新たな一歩を踏み出します。Swissbit社との新たなパートナーシップと、Wibu-Systemsが提供するCmReadyという新たなソリューションは、ハードウェア分野のエンジニアに大きな可能性をもたらすことでしょう。
製品のセキュリティと収益化に注力
Wibu-Systemsは、約30年前の創業以来、ソフトウェアとノウハウの保護における技術革新を進め、さまざまなターゲットプラットフォームに対応した柔軟性の高い収益化ソリューションを提供し続けてきました。それは今後も変わることはありません。当初のユーザーは、ソフトウェアメーカーのみでしたが、現在では産業用機器を扱う企業にも採用されるようになりました。そして、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)のような産業用デバイスは、内部のソフトウェアとファームウェアによって動作していることから、産業オートメーションとエンジニアのニーズに合わせて微調整することで、弊社がもつCodeMeterの保護とライセンシングのノウハウを、ハードウェアという全く新たな市場にも展開することができるのではないかと、私たちは考えました。
法的要件(例:国際標準IEC 62443、欧州サイバーレジリエンス法案)や、ソフトウェアやデータという形で自社がもつノウハウを保護したいというニーズが引き金となり、製品セキュリティの観点、特に製品機能の収益化、ライセンスを通じた新たなビジネスモデルの構築に関心を持つ企業が増えています。すべての機能が予め搭載された状態で製造されるハードウェアデバイスが多いですが、最終的に、これらの機能のうち、どれにお金を払うか、どれをアクティベートすべきかは、エンドユーザーに決定権があります。ライセンスを導入することで、エンドユーザーは、特定の目的に応じて、必要な機能のライセンスを購入することができます。これにより、製品納入後もエンドユーザーとの接点を保つことが可能になります。
ライセンスコンテナの種類とCmDongleの利点
デバイスメーカーは、ユースケースに応じて、エンドユーザーにライセンスを展開する方法を選択することができます。ターゲットデバイス固有のハードウェアフィンガープリントにバインドされるソフトウェアライセンスコンテナ(CmActLicense)、またはクラウドライセンス(CmCloudLicense)、特にハードウェアドングル(CmDongle)は、産業用デバイスメーカーに人気があります。またCmDongleは、ドングルに物理的に内蔵されたセキュアなエレメントに暗号鍵を格納できるという独自の強み、つまりUSP(Unique Selling Proposition)をもっています。デバイスの保守が必要となった際に、この強みが、ライセンスの優れた可搬性との相乗効果を発揮します。知的財産(IP)保護、収益化、ストレージスペースのすべてを1つのデバイス上で実現したい場合には、フラッシュストレージを追加したCmDongleをおすすめします。
さまざまなフォーマットとフォームファクター
Wibu-Systemsでは、ニーズに合わせたCmDongleの様々なフォーマットやフォームファクターを提供しています。組込み/IoTデバイスメーカーの多くは、USBインターフェイスの追加や、CmASICとの連携によるデバイス内部へのCodeMeter機能の追加ができないといった難点から、SDカードやマイクロSDカードのような一般的な大容量デバイスを好みます。このようなユーザーのために、CmCardが開発されました。フォームファクターに関係なく、すべてのオプションが、CodeMeterが提供する、機能セットとすべてのライセンシングモデルをサポートしています。
リーズナブルなCmReadyの誕生
すべての利点には、必ず欠点も伴います。 デバイスメーカーが、タイプ(SLC、pSLC、MLC)やフラッシュストレージのサイズを選ぶ際、コストも大きく影響します。これは、デバイスメーカーの原材料費の高騰に直接関係するためです。特にローエンド/ディスカウントデバイスの場合、コスト面が重視されます。同時に、膨大な種類のメモリとサイズがあるため、開発および認定にかかるコストが高くなるとしても、事実上あらゆる分野の要件に対応するCmDongleが存在します。こうして、CodeMeterの多くの利点を標準的なストレージカードと組み合わせるという、新たな発想が生まれました。これがCmReadyの誕生につながりました。
CmReadyというソリューション
Wibu-Systemsが提供するソフトウェアコンテナCmActLicenseは、通常、ターゲットデバイスのハードウェア固有プロパティのフィンガープリントにバインドされていますが、CmReady認定デバイスを利用し、そのカードに直接保存することも可能です。ライセンスは、CodeMeterのライセンス管理システムを通じて簡単に追加可能であるため、バインディング用に追加で実装する手間は不要であり、ライセンスの可搬性が大幅に向上します。技術的には、ハードウェア固有ID(UID)と、ライセンスコンテナに対する反射攻撃防止のために保護された単調増加するカウンターとを組み合わせることで、バインディングが作成されます。これらのユニットは、非常に可搬性が高く、かつ快適に使用することができます。また万が一最悪の事態が起こった場合には、故障したデバイスからカードを取り出し、交換用のデバイスに移し替えるだけで問題ありません。非常に簡単にライセンスを移動させることができます。CmReady認定デバイスは、CodeMeter RuntimeとCodeMeter Embeddedの両方でサポートされているため、どのようなユースケースにも対応可能です。
Swissbit社とCmReady
スイスに本社を置き、ベルリン(ドイツ)に生産拠点を抱える、インダストリアルメモリーおよびセキュリティソリューションのメーカーSwissbit社は、Wibu-Systemsの長年のパートナーであり、Data Protection(DP)シリーズにCmReadyを採用した最初のメーカーです。すでにハードウェアメーカーや産業機器メーカーから多くの支持を受けるSwissbit社製産業用SDカードは、CmReadyを新たに採用したことで、ノウハウ保護や収益化などの付加価値を向上させました。
目的に応じたコンテナの利用
各ライセンスコンテナタイプのプロパティと機能は、表に示した通りです。どのタイプも共通して、私たちが自信をもっておすすめできるCodeMeterが備える保護・ライセンシング機能を搭載しています。また、フィーチャーオンデマンド、ペイ・パー・ユーズ、サブスクリプションモデルなど、汎用性の高いライセンススキームの簡単な導入も可能です。コンテナに内蔵された仮想クロック、またはオプションのバッテリ式リアルタイムクロック(CmDongleのみ)が搭載されているため、改ざん行為から保護します。
製品のセキュリティ、ライセンシング、フラッシュストレージを組み合わせて使う場合、CmDongleやCmReady認証デバイスをおすすめします。両者ともに、ライセンスの可搬性を可能にしますが、特にCmReady認証デバイスの場合、さまざまなハードウェアバージョンを備えているという魅力があります。ソフトウェア保護だけでなく、署名、ファイルの暗号化、または認証といったCodeMeterの他の機能も備えています。CodeMovingは、機密性の高いコードをコンテナの安全な場所で実行するという機能であり、CmDongleとCmCloudコンテナのみで使用できます。
多様性が生む恩恵
CmReadyの登場により、CodeMeterが可能にした収益化とソフトウェアやIPの保護、これらとストレージメディアを組み合わせた新たなソリューションをWibu-Systemsは作り上げることができました。これにより、デバイスメーカーは、CmReadyと互換性のある選択肢の中から自社にとって最適なストレージオプションを選択できるとともに、ハードウェアの豊富な選択肢、そしてCodeMeterがもつ保護・ライセンシング機能の汎用性という2つの恩恵を受けることができます。
関連情報
- プレスリリース:(2023年3月2日)『組み込みデバイス分野における新潮流:Wibu-SystemsのCodeMeter技術が、通常の大容量デバイスで利用可能に』
- CmActLicense:USB不要のソフトウェアライセンス
- CmDongle:ソフトウェア認証用のUSBドングル
- CmCloudContainer:クラウドライセンス用のライセンスコンテナ
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KEYnote 46 – Edition Fall/Winter 2023