CodeMeterドングル - クリスマスの物語 -
2023-12-13 Oliver Winzenried
1989年、Wibu-Systemsはデジタル資産の保護とセキュリティのための革新的なテクノロジーを提供するという目標を達成すべく設立されました。その目標は、最初にWibuKeyによって実現され、その後同社として初のドングルWibuBox/Pが受け継ぎ、セキュリティハードウェアソリューションとしての成功を収めました。
その15年後、パスワードマネージャーであるSecuriKeyと、セキュアなデータ暗号化ソリューションであるSteganos Safeをパッケージ化した、セキュアなハードウェアデバイスとしてCodeMeter 1.0が一般向けにリリースされました。これこそが、ITセキュリティ製品の開発を主力事業とする決意が固まったWibu-Systemsにとって一つの契機となりました。2003年に開催されたカールスルーエ(ドイツ)のクリスマスマーケットで、CodeMeterは華々しく夜に姿を現しました。手工芸品やクリスマス料理など、数多くの屋台が立ち並ぶ中、私たちWibu-Systemsもその中にいました。
私たちは、個人ユーザーに対して、パスワードの保管場所としても、個人のPCやMacの二要素認証キーとしても使えるUSBデバイスを目指していました。また、ソフトウェア開発者向けには、ソフトウェアのライセンスキーをセキュアに保管する場所として使うことができるという利点をもたらしたいと考えていました。このようなUSBデバイスさえあれば、メーカーはソフトウェアにハードウェアデバイスを同梱するという作業が不要になるため、ソフトウェアの低価格化につながるという確信がありました。私たちは、このUSBデバイスを「CmStick」と名付けました。CmStickは多くの技術的課題を克服し、パスワードの保管場所や二要素認証キーとして見事に役割を果たしました。しかし当初、「CmStick所有者向けの安価なソフトウェア」に関心を持つソフトウェア開発者は、ほぼいませんでした。その原因究明には、それほど長く時間はかかりませんでした。CmStickをエンドユーザー向けに販売する(BtoC)のではなく、企業向けに販売する(BtoB)よう大きく舵を切ることにしたのです。ここから、今に続くCodeMeterドングル(CmStick)が登場したのです。
そのわずか数ヶ月後、Wibu-Systemsは、BtoB市場に向けてCmStick/Mを投入しました。CmStick/Mは、大容量記憶装置(フラッシュメモリ)を内蔵した初のドングルです。これにより、企業は、セキュアな可搬性のあるハードウェアデバイス上で、ライセンスだけでなくアプリケーション自体も提供することが可能です。この年、CodeMeterは業界初のデザインアワードを受賞しました。
その後数年を経て、グローバルビジネスにおけるセキュリティへの意識の高まりと、セキュアなライセンシングソリューションに対するニーズに呼応するように、CodeMeterの技術開発も大きく進展し、多様なフォームファクターが登場しました。2009年にCmCard/SDおよびCmCard/CFとして最初のドングルがリリースされ、その1年後には新たなフォームファクターであるCmCard/microSDが誕生しました。さらに2011年にはCmStick/Cが登場し、ソフトウェアを保護するドングルとしては世界最小を記録しました。このドングルは、ほぼあらゆる小型デバイスに実装できるため、インダストリー4.0に欠かせないインテリジェントセンサーの安全性を高める上で有効な手段と言えます。
またさらに10年の時を経て、インダストリアルオートメーション分野が台頭し、この成長産業をサポートする新たなセキュリティソリューションが必要となりました。これに呼応するようにリリースされたのが、CmCard/CFastとCmStick/IVです。小型、広温度範囲、そして高い信頼性という3つを持ち合わせた高速メモリーに対応するといった特徴を持ちます。
ソフトウェアの不正コピー、コードの改ざん、リバースエンジニアリング、偽造などに対する懸念は、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)や組込みシステムの開発者にとって重要な問題であるという事実は今も昔も変わりません。特に、コネクテッドデバイス、PLC、その他現代社会に必要不可欠な産業用スマートコンポーネントやスマートシステムの急増に伴い、問題の深刻さは増しています。こうした懸念は、金銭的な損失にとどまらず、今や公衆衛生やセキュリティにも重大な脅威となっています。
今日のCodeMeterドングルであるCmDongleは、最高水準のソフトウェア保護とライセンスセキュリティを実現しています。豊富な種類のメモリタイプとサイズが用意されているため、CmDongleは理論上あらゆるニーズに対応することが可能です。またすべてのCmDongleの中核には共通してスマートカードチップが埋め込まれています。これには、暗号鍵とファームウェアをセキュアに保管するためのマイクロコントローラーが含まれています。従って、CmDongleを使うことで、ソフトウェア開発者は、対称/非対称アルゴリズム(例:AES(Advanced Encryption Standard)、RSA(Rivest-Shamir-Adleman)、ECC(Elliptic Curve Cryptography))によるデータ個々の暗号化/復号、さらにはデータの署名や、その署名の認証を行うことが可能です。
また、フラッシュメモリ内蔵の場合は、停電時にデータが消失することはありません。これは、産業用アプリケーションの設計に欠かすことのできない条件の1つです。加えて、-40°C~85°Cの温度に耐えることができます。メモリーはSLCを利用しているため、長寿命、低消費電力、AES暗号化方式によるメモリー保護、高可用性という特徴を有しています。
このようにCodeMeterがもつライセンシングと保護の技術は、ソフトウェアベースのライセンシングで、ユーザーのターゲットデバイスにバインドされた署名/暗号化済みライセンスファイルであるCmActLicense、そしてクラウドベースのライセンシングであるCmCloudContainerへと進化し続けてきました。そして現在では、CmReadyという新たなCodeMeterの形がWibu-Systemsから生まれています。CmReadyは、認定済みの大容量デバイスにCodeMeterの機能を付与し、CmDongleがもつ最高水準の保護とCmActLicenseのソフトウェアコンテナがもつ快適さの両方を併せ持っています。このように、様々な問題を解決すべくCodeMeter技術が姿を変えていったとしても、ドングルがWibu-Systemsの成功を支える礎であることに変わりはありません。フラッシュメモリを搭載したCmDongleのユースケースについては、ホワイトペーパー「CmDongle with Flash Memory in Practice」からご覧いただけます。
関連情報
- CmDongle:ソフトウェア認証用のUSBドングル
- CmActLicense:USB不要のソフトウェアライセンス
- CmCloudContainer:クラウドライセンス用のライセンスコンテナ
- CodeMeter Certificate Vault:デジタル証明書をセキュアに管理するUSBトークンキー
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