製品の違法コピーは減少傾向だが、産業セキュリティの重要性は増加
2024-07-31 Oliver Winzenried
ドイツでは、機械やプラントエンジニアリング関連企業の46%が、製品またはブランドの違法コピーに見舞われたことがあると回答しました。驚くべきことに、これは、VDMA(ドイツ機械工業連盟)が2年前に実施した前回の調査よりも26ポイント低下しています。VDMAは、ドイツおよびヨーロッパにおけるマシンエンジニアリング産業最大の団体であり、産業全体の声を代弁する役割をもちます。
VDMAは2年に1度、会員企業に対し、製品やブランドの違法コピーに関する調査を行っています。今回の調査で、違法コピーが26ポイント減少したという事実は、各企業が、Wibu-Systemsが提供するCodeMeterのような違法コピーを防止する技術を認知・導入するようになったことの現れであり、重要な意味をもちます。
本調査において、VDMAは、製品の違法コピーを次のように定義しています。「特別な権利保護(例:商標、特許)に違反する複製、または特別な権利保護に違反しないが、著作権を侵害する、および/または反競争的な方法でコピーされた複製。模倣に加え、何らかの不正行為も発生した場合、模倣は、反競争的とされる。ここで言う不正行為とは、通常、オリジナル製品のメーカーを騙すこと(惑わせること)と、それに伴う評判の悪用のことを指す。」
製品の違法コピーに関する主な調査結果を下記に示します。
- 2023年度は、製品の違法コピーによる推定被害額が41億ユーロとなり、2022年度の調査と比較して23億ユーロの大幅な減少となりました。また、被害を受けた企業の平均被害額も、年間売上高の3.5%と、前回の4.9%から減少しました。
- 模倣品の生産国のトップは依然として中華人民共和国で、82%を占めています。2位はインドで18%、3位のドイツ(16%)を上回る結果となりました。
- 58%は、模倣品の作成者が直接の競争相手であると回答してますが、以前より低い割合になっています(2022年:70%)。
- さらに、以前まで、模倣品の作成者として増加傾向にあった顧客とサプライヤーは、消えつつあります。顧客はわずか6%(2022年:26%)、サプライヤーに至っては、どの企業からも回答として挙がりませんでした。
本年度は、製品のデジタル化進展と、それに伴う、機械やプラントエンジニアリング関連企業へのサイバー攻撃を踏まえ、新たに「産業セキュリティ」もテーマとして追加されました。最近の出来事でもよく知られるように、サイバーセキュリティに関する事案は、ランサムウェアの感染のような破壊的なものから、産業スパイによる知的財産(IP)の流出に至るものまでさまざまです。
ここにおける産業セキュリティは、「生産、製造、内部ロジスティクスにおける技術システムを、未知の攻撃や操業の妨害から保護すること」を指します。産業セキュリティは、故障、専門知識の流失、スパイ行為、機械・システム・産業データの操作等に対する保護を提供するプロセスです。「オフィス環境」でのセキュリティインシデント(IT/サイバーセキュリティ)も、機械やシステムに影響を及ぼす可能性があれば、この産業セキュリティに含まれます。
産業セキュリティに関する主な調査結果は、以下のとおりです。
- 回答企業の約1/4が、過去2年間に、何らかのサイバーセキュリティインシデントの被害を受けています。
- 96%の回答企業が、少なくとも1つのサイバーセキュリティ対策を講じて、自社の保護を行っています。さらに、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションの定期的なバックアップや更新に加え、調査対象企業の80%は、早期の対応に向け、攻撃を検知するための対策を導入しています。
- 地域または国内で活動する、サイバーセキュリティに特化した団体への参加意欲は高く、すでに13%が参加しており、50%も参加予定としています。
- 模倣品が安全上のリスクであることは明らかで、企業の41%が、事業者や ユーザーにリスクをもたらす模倣品の存在を報告しています。また、調査対象企業の半数以上(54%)が、発見された模倣品がシステムの安全な運用に悪影響を及ぼすと考えています。
VDMAは、違法コピー防止に向け、政府や社会への情報提供と啓発活動に引き続き注力する一方、法執行の改善と、影響を受ける企業間の情報交換にも取り組んでいきます。詳細については、2024年の調査報告書をダウンロードしてご覧いただけます。
産業システムの仕組みとオペレーターを保護するために必要となるサイバーセキュリティのメカニズムと同様に、製品の違法コピーの頻度と影響を低減するための新たな保護手段の開発・実装には、絶え間ない努力が欠かせません。Wibu-Systemsは、デジタル資産とIPの保護に重点的に取り組んでいます。私たちは、ユーザーがEUサイバーレジリエンス法の要件を製品に実装させ、セキュリティを強化するサポートを提供します。さまざまな産業のソフトウェア開発企業やインテリジェントデバイスメーカーに採用されている弊社の技術ソリューションに関しては、ぜひこちらからご覧ください。