クラウドでのライセンス借用
2024-10-24 Stefan Bamberg
ライセンス借用(License borrowing)は、当初、オンプレミスのライセンシングソリューションとして登場した機能であり、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)は、ネットワークライセンスサーバーに接続しているエンドユーザーに対し、ライセンス割り当てをより効率的に管理することができます。現在では、多様な働き方が浸透するにつれ、リモートで作業しながら、ソフトウェアにアクセスする機会が増えました。
ライセンス借用が役立つ場面として、以下が考えられます。
- リモートワークまたは出張:会社のネットワークやライセンスサーバーにアクセスできない場所からリモートで、ライセンスが付与されたソフトウェアにアクセスする場合。
例)出張、在宅勤務、旅行 等 - 現場作業:インターネット接続やライセンスサーバーへのアクセスが困難な現場で、高度なソフトウェアを使用する場合。
例)建設現場、遠隔地での研究プロジェクト 等 - 不安定なネット環境:ライセンスサーバへのアクセスが円滑に進まず、ワークフローが中断される可能性のある、インターネット環境が脆弱または断続的な地域で作業を行う場合。
- 長期オフラインプロジェクト:セキュアな環境または隔離された環境などで、長時間のオフライン作業が必要となる場合
このようなケースにおいて、ライセンス借用を活用することで、エンドユーザーは、あらかじめ設定された期間、サーバーからライセンスを借用してオフラインでソフトウェアを使用することができます。借用期間の終了後、借用したライセンスは自動で返却され、再びライセンスサーバからの使用が可能になります。
今日、多くの企業では、クラウドライセンシングが標準になりつつあり、ソフトウェアベンダーは、ライセンスの効率的かつ柔軟な作成・管理・配布が可能です。クラウドライセンシングでは、ライセンスは、きわめて安全で冗長化されたサーバーに保管され、ソフトウェアベンダーが設定した認証ルールに従って、どこからでもアクセスすることができます。これにより、企業は、ソフトウェアの購入時に、手軽さと拡張性を、エンドユーザーである社員は、場所に縛られずにライセンスを使用できるという柔軟性を享受することができます。特に、社員がリモートで仕事をしたり、異なるデバイスにアクセスする必要がある場合、クラウドベースのライセンシングは、日常の業務を大幅に簡略化する点で便利です。新規ライセンスも、複雑なプロセスを踏むこと無く、簡単に追加・削除、または転送することができます。これは、拡張性と効率性を好むエンドユーザーにとって大きなメリットとなります。
クラウドライセンシングは通常、リアルタイムで管理されます。つまり、エンドユーザーは、インターネットに接続されている限り、オンデマンドでライセンスを認証・確認することができます。ライセンスの利用状況は、クラウドプロバイダーによって検証されるため、ローカルサーバーは不要です。
Wibu-Systemsが提供するライセンシングおよび保護ソリューションであるCodeMeterをはじめとした、最新のソフトウェアライセンシングシステムでは、ライセンス借用機能を提供し、エンドユーザーが、あるライセンスコンテナから別のライセンスコンテナへライセンスを一時的に転送することを可能にします。CodeMeterを使用することで、ソフトウェアベンダーは、ハードウェアのCmDongleとソフトウェアベースのライセンスコンテナのCmActLicense間でのライセンス借用を許可することが可能です。
このように、クラウドライセンシングでは、ライセンスの確認・検証を行うため、一般的に、エンドユーザーがインターネットに継続的にアクセスできることを前提としています。では、信頼できるインターネット環境がない場合、どうすればよいのでしょうか?そこで、役立つのが、CodeMeterのような、最新の柔軟性と拡張性を兼ね備えたライセンシングシステムです。このシステムを活用することで、ライセンス借用という機能を用いることができます。
クラウド上でのCodeMeterのライセンス借用機能は、技術者がオフラインで作業することを強いられるケースが多い産業環境に適しています。例えば、メンテナンスのために工場を訪れる場合、サービス技術者は、事前に、CodeMeter Cloud(CmCloud)から自分のデバイスにライセンスを移行することができます。これにより、作業中、オフラインであっても、必要なソフトウェアを使用し続けることが可能です。
似たケースとして、屋外での作業環境での利用があります。例えば、ネット環境が不十分な洋上風力発電所でのメンテナンス作業の場合、ライセンス借用を用いることで、技術者は、事前にライセンスを各自のデバイスに転送し、作業中、必要なソフトウェアをオフラインで使用することができます。また、同じように、外部とのネットワーク接続が不安定であることが多い地下での作業を行う鉱員にもメリットがあります。ライセンス借用により、作業中、必要となるソフトウェアを途切れること無く使うことができます。借用期間の終了後には、コンピューターがオフライン状態であっても、追加の管理作業なしで、ライセンスが自動でCmCloudに返却されます。こうした柔軟性により、厳しい環境下でも作業を中断することなく進めることが可能です。
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