自社開発か購入か ー CodeMeterのROIモデルから分かること
2024-02-28 Thomas Oberle
「自社開発か、購入か」ー これは、熱心な消費者であれ、企業の意思決定者であれ、長年、明確な答えが出ない問いです。
次のようなケースを考えてみましょう。あなたは、マイホームを購入しました。自分の趣味や仕事のため、追加の収納場所や作業スペースを確保したく、裏庭に物置小屋の設置を考えています。では、ここで質問です。その物置は、自分のニーズに沿うよう、自前で製作した方が、結果的には費用を抑えることにつながるでしょうか。それとも、近くのホームセンターで販売されているモジュール式のプレハブ収納でも十分、代用可能であり、長期的見て、より経済的に優しい買い物になるのでしょうか。
慎重派の場合、設計プラン作成までの費用、プラン承認と建築許可取得のため、近隣住民の理解を得る時間、さらには、建築資材の購入と自宅への配送、そして実際の施工までを考慮する必要があります。その他にも、工事を安全に行うための道具や技術の有無、また、施工にかかる時間が他の重要なプロジェクトや家族との時間に影響する可能性も懸念されます。もしくは、既存の物置の販売価格、それに伴う整地・配送・設置費用などを勘案することも考えられます。いずれにせよ、ROI(Return On Investment、投資利益率)の計算が、意思決定に役立つことは間違いないでしょう。
企業もまた、同じような悩みを抱えています。規模の大小関係なく、企業の多くが「自社開発」と「購入」の2つに揺れています。では、今度は、独自のERPシステムを自社で開発するか、市場で評判の高い数多くのベンダーの中から1つを選び、そのベンダーが販売する製品を購入するか、意思決定を迫られているフォーチュン500の企業の立ち場から考えてみましょう。意思決定に役立つ要素は、先ほどの、物置小屋の設置を考えているマイホーム所有者と、ほぼ似ています。「長期的に見て、社内のリソースによる構築と、既存ソフトウェアの購入、どちらの費用対効果が高いのか?」、「短期・長期で期待されるROIはどのくらいか?」、「決められた期間内に、効率的にアプリケーションを構築できるスキルとリソースが社内にはあるか?」、「採用するソリューションは、将来のニーズに合わせて、拡張可能なのか?」ー 前述の例と同じく、考慮すべき不確定要素は多く、意思決定の指針となり得るような、論理的な方程式やアルゴリズムといったものは、ほぼ存在ないと言ってよいでしょう。
ソフトウェア保護とライセンシングの多くの課題に対処できるソリューションを求めている弊社のユーザーもまた、「自社開発か、購入か」で頭を悩ませています。例えば、ソフトウェアの違法コピーと効果的でないライセンシングは、企業の財務状況に大きな影響を与えます。つまり、不正にコピーされ、ライセンス無しで使用された場合には、多額の損失は避けられず、さらには、緩いライセンシングのもとでは、管理も難しくなります。また、知的財産(IP)の保護は、財務の健全性やイノベーションの維持には必要不可欠です。適切な保護を講じなければ、創造的なアイデアなどを含むIPは、盗用・模倣・不正使用の危険に晒されることになります。
今日のあらゆる産業分野にて起きているデジタルトランスフォーメーション(DX)により、ソフトウェアのセキュリティ、特に、不正操作やサイバー攻撃に対するセキュリティが注目されています。不正操作や改ざんからソフトウェアを保護するには、コードの暗号化や署名、攻撃を認識・回避するための高度な技術に至るまで、多種多様なセキュリティ技術を駆使する必要があります。
さらに企業は、サブスクリプションモデル、ペイ・パー・ユーズモデルなどのライセンシングオプションを用意するといった、消費者のニーズの変化に対するプレッシャーにさらされています。これに対応するには、開発者側の新たな戦略的思考だけでなく、大きな市場の変化にも対応できる柔軟なライセンシングシステムが必要です。
このように、ソフトウェア保護と柔軟なライセンシングシステムの必要性が重要であるという認識は、多くの企業の間で一致しています。しかし一方で、CodeMeterのライセンシングと保護システムの購入を決意したユーザーも悩んでいることから分かるように、「自社開発か、購入か」の結論は未だ出ていません。
そこで私たちは、意思決定に役立つよう、CodeMeterシステムを実際に購入・導入・メンテナンスする際にかかる費用と、それに続く、短期・長期のROIを割り出すため、幅広く分析を行いました。そして、その算出に際し、CodeMeterユーザー4社の主要幹部にインタビューを実施しました。そこから得られたデータを明確なシナリオに沿って整理し、様々なユースケースや業種、企業規模に対応できるよう算出を行いました。
CodeMeterソリューションが、ユーザーの収益性に与える影響について明確なイメージを得られるよう、ROIには、初期費用、ライセンスシステム使用時に発生する運用コスト、潜在的な収益の伸び率、削減されるであろうコストなどが含まれます。また、CodeMeterのライセンシングソリューションを選択することの長期的な効果について把握できるよう、「3年」という長期的なスパンで計算しています。
驚くことではありませんが、結果として、効率的かつ柔軟なライセンシングシステムを採用することで、ユーザーは、利益を得ていることを明確に示すことができました。どのユースケースにおいても、CodeMeterは、収益性の向上に寄与しただけでなく、競争力の強化、IPの保護、長期的な成長のための予測可能なモデルの提供に貢献しました。
しかし、話はここで終わりません。私たちがもつ、客観的かつ実証可能なROIモデルを活用することで、「自社開発か、購入か」という問いに答えを出せる可能性が高まりました。弊社のROIの手法と計算についてご興味のある方はぜひ、ホワイトペーパー「ライセンスシステム導入の費用対効果 ー CodeMeter ユーザー企業4社のROI分析 」から詳細をご覧ください。
貴社の課題をCodeMeterで解決しませんか?
お気軽にお問合せください。製品説明および最適な使い方をご提案します。
お問合せ
Contributor
Thomas Oberle
Member of the Management Board
Thomas Oberle(トーマス・オベリ)は、カールスルーエ大学(ドイツ、現・カールスルーエ工科大学(KIT))で電気 工学の学位を取得後、産業用フィールドバスシステム、マシン制御、オペレーティングデバイス向けのハードウェア および組込みソフトウェア開発者としてキャリアをスタート。その後、ザンクトガレン大学ビジネススクール(スイ ス)で経営工学を専攻した後、経営コンサルタントに転身。イノベーションマネジメント、製品開発、プロジェクト マネジメントのプロセスコンサルタントを経て、生産・購買・サプライチェーンマネジメントのシニアコンサルタン トに従事。SAP ERP システム導入におけるプロジェクトマネージャーも務め、製造業におけるビジネスプロセスの ベストプラクティスに関する幅広い知見を獲得。現在は、Wibu-Systems の経営陣の一員として、組織開発、プロ セスの最適化、メソッドやツールの導入、さらにはプログラム/製品ポートフォリオの管理を担当。