SCADAアプリケーションに柔軟なライセンスシステムを統合
2024-02-06 Stefan Bamberg
1970年代にSCADAは、自動化されたプロセスを制御・監視する仕組みとして、マイクロプロセッサやPLCとともに登場しました。2000年代初頭には、インターネットによりインダストリアルネットワークが実現し、分散システムの相互接続性が高まったことで、効率性、生産性、そしてプロセスの信頼性が向上しました。今日、SCADAは、世界のどの地域からでもリアルタイムで、現場から直接データを収集・分析できる、産業界にとって無くてはならないツールになっています。SCADAソフトウェアは、エネルギーや廃水の管理から運輸、製造業に至るまで、あらゆる重要なインフラを動かす、高度な制御システムとして活躍しています。
IoT、クラウドコンピューティング、機械学習(ML)、人工知能(AI)、ビッグデータ分析など、高度なデジタル技術の出現と、それらの融合に伴い、SCADAは日々進化しています。しかし同時に、サイバーセキュリティへの懸念や、最新の産業プロセスを用いるエンドユーザの要求に対応可能な、信頼性の高いソフトウェアライセンス管理システムの必要性など、新たな課題も生じています。
こうした要求に応えるべく、Siemensの完全子会社であるETM professional controlは、SIMATIC WinCC Open Architecture(WinCC OA)を開発しました。開発者は、大規模かつ複雑なアプリケーションや、カスタマイズ機能を備えたプロジェクト向けに設計されたソフトウェアを用いて、WinCC OAというプラットフォーム上で、特定のベンダーやプラットフォームに縛られることなくSCADAシステムを構築することが可能です。また、多様な制御装置や集中監視システムとのシームレスな統合により、豊富な接続オプションから選択することができます。さらにSCADAソフトウェアは、特定のプラットフォームに依存しないため、ネイティブアプリケーションだけでなく、モバイルやウェブユーザーインターフェイスを介したアクセスが可能です。加えて、オープンアーキテクチャーであるために、クラウドのような新たなテクノロジーへ容易に対応することができ、WinCC OAの継続的な利用と投資利益率(ROI)の増加による、ユーザーの持続的な革新が期待できます。WinCC OAは、拡張性と、ウェブ上での無制限のグローバルアクセスに長けていると言えます。
このような洗練された開発プラットフォームにも、ソフトウェアの保護とライセンシングには課題があります。モジュラーOS、仮想化、Dockerコンテナソリューション、クラウドシステムなどにより、市場投入までの時間や更新サイクルの短縮が進み、技術環境は急速な進化を遂げています。そのため、幅広いプラットフォームで、不正操作や改ざんから保護できる十分な堅牢性を備えた、オープンかつ柔軟性の高いソフトウェアが求められます。
そこで活躍したのが、Wibu-Systemsが提供するCodeMeterの保護・ライセンシングソリューションでした。ETM professional controlは、新たな要件を満たすため、自社で開発したソリューションの代わりに、CodeMeterを採用することに決めました。CodeMeterは、ハードウェアではARMからx86まで、OSではWindowsやLinux、さらには小型のIoTデバイスからクラウドに至るまで、すべての関連システムとプラットフォームをサポートし、すべてに対して一貫した保護とライセンシングを提供します。また、分散システムの設定、ライセンスコンテナの範囲、さらにはERPシステムとの効果的な統合においても、CodeMeterはセキュアなライセンシングを保証するので、現場のユーザーは、ライセンスの管理や、プロジェクトのニーズに合わせたシステムのカスタマイズなど、様々な選択肢から選ぶことができます。
ユーザーは、現場以外でも使用可能なライセンシングツールを用いることで、WinCC OAを自動で展開することができます。また、従来のワークフローと最新のワークフローに対応するためには、ライセンス管理がデジタルプラットフォームから独立した状態で行われる必要がありますが、CodeMeterであれば、ETM professional controlの担当者と直接やり取りすることなく、ライセンスのアップグレード、機能の追加/削除、WinCC OAのスケールアップ/ダウンをユーザー自身で簡単に行うことができます。
またCodeMeterを支えるインフラは、ERPやショップシステムと統合されるため、ストアでのアイテム選択からライセンスの発送まで、オンラインで完結することができます。さらにドングルの有り無しにかかわらず、柔軟なバインディングオプションも重要です。ライセンスアイテムプロパティの緻密な構造は、WinCC OAの高度なモジュール構造に対応しており、永続的な収益獲得を目指すビジネスモデルには最適と言えます。また個々のパーツからライセンスを作成する際、依存関係や機能の追加/削除が可能です。
一時的な投資で終わっていた従来とは異なり、昨今では持続的な収益をもたらすビジネスモデルの重要性がますます高まっています。従って、ソフトウエアもまた、この流れに乗り遅れること無く、継続的な使用に対応できる必要があります。また、企業レベルでのサプライチェーン統合は、優れた顧客体験の実現に不可欠です。ユーザーは、オーダーからソフトウェアライセンスの配布、ソフトウェアへの統合に至るまで、一貫したプロセスを期待しているのです。
ETM professional controlとWibu-Systemsのパートナーシップが実現したことで、ユーザーニーズの変化に合わせたソフトウェアソリューションの提供が可能となり、ETM professional controlがもつ堅牢性と柔軟性が強化され、技術的な要求への対応が可能になりました。標準的なプロセスを基礎としつつ、ユーザーがもつ個々の要望にもシームレスに対応できる同ソフトウェアは、ETM professional controlの継続的な発展と顧客満足度の向上に繋がっています。
SCADAソフトウェアにおける技術連携に関する詳細は、こちらのケーススタディからご覧いただけます。