ソフトウェアライセンスの優位性のカギは、『柔軟性』にあり
2022-11-30 Thomas Warnken
ISV(独立系ソフトウェアベンダー)は、ビジネス目標を達成しようと、既存顧客の維持、新たな収益源の創出、業務効率の改善など、無数の課題に取り組んでいます。同時に、業界トレンドを把握し、変化する顧客のニーズを察知し応える必要があります。そこで、ISVの明暗を分ける重要な要素の一つが、ソフトウェアライセンシングとエンタイトルメント管理になります。ライセンス管理は、知的財産(以下IP)保護、機会損失の回避には不可欠です。また、エンドユーザーの満足度にも繋がります。エンドユーザーのライセンシング要件に着目し、彼らの期待に応えるソフトウェアを提供することは、競争上の優位性を生み出します。
しかし、ISVから見たソフトウェアライセンシングとエンタイトルメント管理は、非常に難しい課題です。現在、エンドユーザは、サブスクリプションやペイ・パー・ユーズモデルなど、従来のオンプレミス型の永久ライセンスを上回るさまざまなライセンシングオプションを期待しています。また、ハイブリッドワークとSaaS(Software-as-a-Service)の普及により、ライセンスの可用性と配布に関する基準は変わりつつあります。ライセンシングを検討する際、ソフトウェアを実行する環境も考慮する必要があります。例えば、多種多様なオペレーティングシステム、展開プラットフォーム、およびネットワークアーキテクチャーが混在している状況も考えられます。ライセンスコンテナが、ハードウェア/ソフトウェア/クラウドベースのいずれか、またはこれら3つすべての組み合わせである場合には、さらに問題は複雑化します。
当然ながら、あらゆる産業において生じる差異や変化をすべて満たすような、画一的なアプローチは存在しません。しかし、柔軟性が、ライセンシングとエンタイトルメント管理に必要であることは明らかです。柔軟性を備えることで、その核となる保護およびライセンシング技術は、顧客のニーズに合わせて容易に設計することが可能となります。
例えば、発電、送電、配電、産業設備、再生可能エネルギーインフラなどの電気システム分野で高度な専門サービスを提供するドイツの独立系ソフトウェアおよびコンサルティング会社であるDIgSILENT GmbHをご紹介します。同社のPowerFactoryは、世界中の電力会社やコンサルティング会社で使用されている電力系統解析ソフトウェアの代表格です。
電力網の設計と管理は複雑なビジネスであり、インフラ自体や需要プロファイルの変化のスピードが速いため、高度なソフトウェアソリューションも必要とされています。PowerFactoryは、負荷と発電予測と包括的なネットワーク分析を用いて、グリッドの安全性を予測し、不測の事態や緊急時の対策に対応します。電力フロー、短絡レベル、動的安定性、および高調波の本質的な分析を促進するために、複雑なアルゴリズムとデータモデルが必要とされます。障害発生時には、人命を守るために保護装置を正しく調整し、同時に供給されないエネルギーを減らすために最適化する必要があります。
PowerFactoryのユーザーは、小規模な独立系コンサルタントから数百人の同時使用者を抱える大手電力会社まで、ITアーキテクチャ、運用条件、エンドユーザー数など、それぞれ独自の要件を持っており、結果として異なる機能性とライセンスの種類を選択することになりました。このような複雑なニーズが混在する環境において、DIgSILENTは柔軟性の高いライセンス管理ソリューションを必要としていました。
DIgSILENTは、全世界2,500社の顧客に利用されているPowerFactoryのセキュリティ対策として、Wibu-SystemsのCodeMeter Protection Suiteを採用しました。CodeMeterの暗号化ツールAxProtectorは、最先端のソフトウェアに投資されたIPと技術的専門知識を保護し、不正使用や不正操作から守ります。
Wibu-Systems の CodeMeter License Central Internet Edition は、ライセンスのライフサイクル全体をオンラインで管理するために必要な多機能性、信頼性、使いやすさを提供します。データベース主導のライセンスおよびエンタイトルメント管理ソリューションは、ソフトウェアやデジタルコンテンツのライセンス作成、配信、管理プロセスを自動化します。DIgSILENTの場合、必要なライセンスは40以上のモジュールから選択でき、ユーザーそれぞれのニーズに合わせて多くの構成が用意されています。ライセンスは、CodeMeterのハードウェア(CmDongle)またはソフトウェア(CmActLicense)のコンテナで提供されます。DIgSILENTは、さらに柔軟性を高めるために、Wibu-SystemsのクラウドベースのライセンスソリューションであるCmCloudのテストも積極的に行っています。
このユースケースでは、CodeMeterのライセンス管理ソリューションがもつIP保護と柔軟性により、DIgSILENTは、顧客ニーズへの対応が可能となりました。詳細については、ユーザー事例をご覧ください。
関連情報
- CodeMeter Protection Suite:CodeMeterが提供するソフトウェ暗号化技術
- AxProtector:ソフトウェア全体を暗号化するツール(Windows、Linux、MAC OS対応)
- CodeMeter License Central:ソフトウェアライセンスの作成・配布・管理ツール
- ユーザー事例:DIgSILENT - グリッド解析ソフトウェアの安全性を確保するため、CodeMeterを採用
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Contributor
Thomas Warnken
Key Account Manager
1998年にIT業界に入った当初は、キーアカウントマネージャーとしてビジネス顧客向けの営業を担当。翌年には、HPのサーバーとノートパソコンのプロジェクト・ビジネスを引き継ぎ、ITサービス・プロバイダーやコンサルティング・プロバイダーと協力して高度なサーバー・インフラを構築。2000年に入ってからは、別の販売代理店で事業開発に携わり、自社ブランド製品のマーケティングと販売活動に注力するとともに、ITサービスやコンサルティング・パートナーとの協力関係を維持。2003年にコピープロテクションとライセンシングの分野に転じ、この分野のキーアカウントマネージャーを務めた後、2011年にWibu-Systemsに入社。同社の主要なクライアントをサポートし、多くのソフトウェア保護およびライセンシング・プロジェクトを成功に導く。