ソフトウェアエンジニアが、得意とする仕事に専念すべき理由
2022-03-07 Terry Gaul
「エンジニアリングの時間価値」- これは、米国の独立系調査会社Tech-Clarityの副社長であるMichelle Boucher氏が執筆した興味深い電子書籍「How to Reduce Non-Value-Added Work in Engineering(仮訳:エンジニアリングにおける付加価値のない作業を減らすには)」のエッセンスです。この書籍は、220社以上のメーカーを対象に、エンジニアの時間の使い方を調査し、収集したデータに基づいて書かれています。私が注目したのは、次のような考え方です。
『エンジニアは常に厳しい納期のプレッシャーにさらされています。品質、コスト、性能とのバランスを取りつつ、イノベーションを起こし、問題を解決する時間も必要です。しかし残念ながら、彼らは付加価値のない仕事に貴重な時間を奪われています。もしも、こうした退屈な作業をが減り、エンジニアが、より良い設計につながるエンジニアリング作業に注力できるようになったらと想像してみてください。』
上記の文章は、非常に理にかなっています。気が散り本質的でない作業を排除し、エンジニアが最も得意とする仕事、つまり複雑な工学的問題の解決策を生み出す仕事に専念できるようにするのです。この記事では、エンジニアの気が散ることなく、目の前のタスクに集中できることで生まれるビジネス上の価値(以下5点)について言及していきます。
- 市場投入までの時間短縮
- 製品開発コストの削減
- 製品の品質向上
- 製造コストの削減
- 販売利益率/収益性の向上
この考え方は、ソフトウェアエンジニアリングの世界でも同様です。ソフトウェアエンジニアが最も得意とすることは何でしょうか。彼らは、複雑なコードを作成し、そのコードを現実の問題を解決する革新的なアプリケーションに変換することができます。企業のオフィスアプリケーションからスマート産業ソリューションに至るまで、あらゆる産業に多大な価値をもたらすことができるのです。しかし、ソフトウェアエンジニアは、これらの得意とする仕事に専念できていません。
コードセキュリティの観点からみると、課題や要件は日々変化し、暗号化テクノロジーは進歩し続け、新しいオペレーティングシステムやコンポーネントが発明されています。独立系ソフトウェアベンダー(ISV)は、ソフトウェアの違法コピー、偽造、リバースエンジニアリングなど、増え続けるリスクからソフトウェアと知的財産(IP)を保護する必要があります。時代遅れの保護スキーマ―を適用するよりは、全く保護しないほうがよいという場合も考えられます。
ビジネスの観点からみると、市場は進化し、消費者の嗜好は常に変化し続けています。ISVは、市場のニーズに応じ、ビジネスモデルや配布オプション、および価格戦略を変化させていかなければなりません。
これらの事情により、ソフトウェアエンジニアは、本来の業務に時間を割きづらくなっています。多くの組織では、外部のセキュリティ専門家の助けを借りずに、ソフトウェアのライセンシングと保護システムを社内で構築する「自前主義」のアプローチを取っています。これにより、ソフトウェアエンジニアの負担は増すばかりです。彼らの多くは、本来専念したいはずのコード開発業務に加え、ライセンシングと保護のテクノロジーの作成/統合作業に追われています。おそらく彼らの得意な技術分野の範囲外である場合がほとんどです。
ソフトウェアのライセンシングと保護システムを開発する際に問題となる点をいくつかみていきます。
市場の観点
- 消費者嗜好の変化:必要なものだけにお金を払う考え方へ
- ハイブリッドな仕事環境:いつでも、どこからでも、どのデバイスからでも、アプリへのアクセスが可能に
- トランザクション中心モデル(永久ソフトウェアライセンス)から「as-a-service」モデルへの移行:ソフトウェアをサービスとして提供し、サブスクリプションとして販売
ビジネスの観点
- ソフトウェアの収益化:変化する市場環境に対し、柔軟なライセンシングと価格設定機能が必要に
- ソフトウェアの保護:IPの盗難、リバースエンジニアリング、およびソフトウェアの違法コピーから保護する最新の暗号化テクノロジー、攻撃を未然に防ぐ最新テクノロジーによる継続的な監視と更新の必要性
テクノロジーの観点
- 組織は、ソフトウェア開発に加え、ライセンシングと保護ソリューションの作成に必要となる専門知識とリソースを有しているか。
- 組織は、ソフトウェアをクラウド経由でサービスとして提供し、ライセンスとエンタイトルメントをクラウド経由で作成、配布、および管理するために必要となる専門知識を有しているか。
- 組織は、エンドユーザー向けのWebベースのライセンス管理(例:エンドユーザーライセンスWebポータル)を提供するために必要となる専門知識を有しているか。
大規模なソフトウェアのライセンシングと保護ソリューションを開発し維持する際に必要な継続的な努力と、それを作成し実装するためにソフトウェアエンジニアにのしかかる責任は、決して過小評価されるべきものではありません。幸いISVは、ソフトウェアとバックオフィスのライセンシングと販売システムに簡単に統合できる商業利用可能なライセンシングとセキュリティのソリューションに頼ることができます。これにより、ソフトウェア開発者の負担軽減、プロセスのビジネス面の外部委託が可能となります。
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