エンターテインメント業界を支えるIP保護およびライセンシング
2023-03-29 John Poulson
デジタルメディア産業は、長年にわたり、不正コピーの標的にされています。音楽、ゲーム、ソフトウェア、ビデオ、映画などの著作権侵害により、エンターテインメント業界は毎年数十億ドルもの損失を被っています。また、デジタルメディアにおける不正コピーは、依然として深刻な脅威であることは、最新のレポートからも明らかです。以下では、その驚くべきデータの一部をご紹介します。
MUSOは、違法コンテンツの流通および世界の不正コピー需要を主に扱う調査会社です。同社の2022年のレポートによると、2021年と比較して、映画の不正コピーは約39%、テレビ番組が違法アップロードされたサイトへのアクセスは約9%増加しました。また、不正コピーは2023年以降も増加し続けるだろうと予測しています。
さらに2019年に、米国商工会議所のGlobal Innovation Policy Center(GIPC)は、不正コピーが米国の映画・テレビ業界に与える損失は、年間290~710億ドルに達すると報告しています。
また、デジタルメディアにおける違法行為は、財務面に限らず、雇用にも打撃を与えています。オンライン求人プラットフォームであるLegalJobsによると、不正コピーの横行により、米国の音楽業界では、何千人もの人々が職を失っています。加えて、デジタルビデオの不正コピーは米国経済に悪影響を与え、年間23~56万人の雇用喪失、475~1,153億ドルのGDP(国内総生産)の減少をもたらしたことも示されています。
上記のような不正コピーに最も苦しめられているのは、映画、テレビ、ライブエンタテインメントにおいて、素晴らしいサウンド、画像、アニメーションを作成しようと、高度なツールやテクノロジーに多大な投資を行ってきたデジタルコンテンツのクリエイターやプロデューサーなのです。彼らが生み出した唯一無二の知的財産(IP)は、想像をはるかに超える価値があり、盗難や改ざんから保護する必要があります。
例えば、映像のプロフェッショナルに向けた世界初の統合制作システムを提供し、劇場からコンサートツアー、プロジェクションマッピングイベントに至るまで、世界で注目を集める豪華なショーを数多く手掛ける企業、disguiseのユースケースを見てみましょう。同社の強みは、強力なソフトウェアと専用ハードウェアの組み合わせにあります。しかし、その高度な技術には、不正使用や偽造行為からの保護、そして自社製品を収益化するためのライセンシングソリューションが必要でした。
最終的にdisguiseは、多くのソフトウェア開発者や組み込みソフトウェアエンジニアに使用されている、Wibu-SystemsのCodeMeterがもつ、ライセンシングと保護テクノロジーに解決策を見出しました。同社は、CodeMeterにより、適切なライセンスをソフトウェアとハードウェアに効率的に提供しています。さらにCodeMeterは、IPの保護、サプライチェーン全体にわたってデザイナーがクライアントと交換するデザインビルドの整合性維持の実現に貢献しています。また、CodeMeterには、ライセンスモデルとライセンスコンテナの選択肢(例:有効なライセンスを持ち、電子的な不正コピー防止デバイスとして機能するドングル、ユーザーとdisguiseの双方にとって物流の面で時間の節約となるソフトウェアベースのライセンスコンテナ)が豊富に用意されています。
ライセンスを付与されたデザイナーは、ショー全体を作成することができますが、すべてに透かしが入るため、この段階では実際のショーに反映させることはできません。そこで、イベント業界の多くのレンタル会社に用意されているdisguiseの専用ハードウェアと、CodeMeterによる組み込みライセンスの出番です。この2つにより、ショーの実現が可能になります。CodeMeterの採用により、同社は、エンドユーザーが正しい改ざん防止の設定にのみアクセス可能であることの確認、また、年次更新やアップグレードのスムーズな販売が容易になりました。
ライセンスは、disguiseのハードウェアに組み込まれているため、デザイナーは高性能なハードウェアを新たに購入する必要はなく、同社のハードウェア上でこれまで通り作品を制作することができます。これは、レンタル会社にとっても新しいビジネスモデルを生み出すことにつながります。
このdisguiseの事例は、柔軟なライセンシング戦略により、IPの盗用を防ぎつつ、収益化する手段のほんの1つに過ぎません。本ケーススタディに興味を持たれた方は、こちらから全文をお読みいただけます。
エンターテインメント業界のテクノロジーベンダーが多く参加するNAB2023(米国ネバダ州ラスベガス)にdisguiseも出展します。NAB2023は、全米放送事業者協会が主催する、メディア・エンターテインメント・テクノロジーの年次総会および展示会です。そこでは、ITテクノロジーやサイバーセキュリティに関するセッションも多く開かれます。私は、disguiseのような他のテクノロジー企業とCodeMeterが提供するライセンシングおよび保護ソリューションについてお話する予定です。
関連情報
- CodeMeter:ソフトウェア保護・ライセンス管理
- ライセンスの配布形態: 種類と特長
- Protection Suite
- ユーザー事例:disguise - 観客を魅了する世界的イベント・ショーを陰で支えるCodeMeterのセキュリティと可搬性
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Contributor
John Poulson
Sr. Account Manager
2001年以来、Wibu-Systems USAでビジネス開発およびセールスを担当。ソフトウェアライセンシングとプロテクションソリューションに関する顧客とのコンサルティング以外でも、業界のトレードショーやカンファレンスに出席し、IT界の最新動向の把握に努める。Wibu-Systems以前は、ソフトウェアセキュリティのパイオニアであるMicro Security Systems社、Eagle Data社、Griffin Technologies社で勤務
長年にわたり、暗号に関する一般的な話題や、新しく革新的な方法による組込みシステムの収益化について、いくつかのブログを執筆。