AM技術で商用車のスペア部品ビジネスに革命を起こす
2022-11-15 Stefan Bamberg
過去10年間、製造産業における3Dプリントの可能性と実用性には多くの期待が寄せられていました。その潜在的メリットは、小ロット部品の生産や迅速なプロトタイプ制作、大量生産への容易な拡張、オペレーションコストの削減、市場投入までの時間短縮、廃棄物の削減、保管場所の削減など、多岐にわたります。さらに、複雑で長大なサプライチェーンの排除、製造プロセス全体の二酸化炭素排出量の削減、難しくコストのかかる金型やエンジニアリングを必要としないオンデマンド製造が可能です。
AM(アディティブマニュファクチャリング)技術は、新たなビジネスモデルや市場投入の迅速化へのチャンスをもたらしましたが、製造業では、まだ完全には受け入れられていないのが現状です。その理由は、企業が要求する製品や材料に対する仕様に合わない、あるいはビジネスモデルが単にその企業が位置する市場にマッチしていないことにあります。
しかし、AM技術が期待に沿い成果を上げている事例も増えてきています。この3DプリントによるDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させた企業の一つが、自動車産業のグローバルリーダーであるDaimler Busesです。Wibu-Systemsの暗号化・ライセンス技術とFarsoon Technologiesの3Dプリンターにより、Daimler Busesはバーチャル倉庫「OMNIplus」を実現させ、スペア部品ビジネスに革命を起こしています。このオンラインストアでは、バス事業者やサービスパートナーが、いつでもどこでも、バスの運行維持に必要な部品を迅速かつ簡単に購入できるよう、自社で製造した3Dプリント可能なスペア部品を提供しています。
この画期的なビジネスモデルは、効率的かつシンプルです。まず、バス/観光バス事業者(ユーザー)は、OMNIplusにアクセスし、1回のみ有効である登録手続きを行います。ショップでは、ユーザーが所有する3Dプリンターで利用可能かつ互換性のある部品のみが表示されます。このサービスは、産業用3DプリンターメーカーであるFarsoon Technologiesと共同で展開されました。登録後、ユーザーは、現在必要な部品の暗号化された3Dプリントライセンスを希望する数量だけ購入し、その後、ユーザーの所属する企業内でのプリントが可能となります。プリント完了後は、データは保存されることなくライセンスは失効します。また、ユーザーは、最寄りのOMNIplusサービスパートナーに要件を知らせ、対応するライセンスの取得、プリント管理を任せることも可能です。Wibu-SystemsのCodeMeter における暗号化・ライセンシング技術により、プロセス全体を通したデータ保護、注文数量の遵守が保証されます。3Dプリント用のファイルは、暗号化されダウンロード形式で販売されます。購入後、ユーザーは、造形ファイル準備用ライセンスと、購入した金額・部数のみプリント可能な実際のプリント用ライセンスを受け取ります。
暗号化されたオブジェクトと暗号化されていないオブジェクトの両方を1つのジョブに含めることができるため、プリントにかかるコストの削減が可能です。また、CodeMeter License CentralとDaimler BusesのSAPシステムとの統合により、バックグラウンドでビジネスプロセス全体が処理されます。すなわち、オブジェクトファイルの保護だけでなく、オーダープロセス全体の完全自動化が実現します。Wibu-Systemsが提供するCodeMeterソリューションは、重要なデータを暗号化し、必要なライセンスをセキュアに作成・配布するために不可欠な技術的基盤となっています。Farsoon Technologiesは、このWibu-Systemsのテクノロジーを自社のソフトウェア製品に統合し、ショップからプリンターまでの一連のセキュアなプロセスチェーンの構築を行い、3Dプリントサービスの市場で先駆的な地位を獲得しました。
CodeMeterは、プロセスにおいて重要な役割を果たし、関連するすべてのコンポーネントの保護とライセンス管理を担います。3DデザインとプリントジョブにおけるCodeMeterの暗号化テクノロジーは、様々な主要プラットフォームおよび開発言語向けのライブラリとして提供されています。これにより、前処理や3Dプリント対応ソフトウェアのメーカーは、少ない労力で3DプリントにIP(知的財産)保護を適用することができます。処理に必要な暗号鍵は、動作条件や希望する保護レベルに応じて、ハードウェアドングルやソフトウェア、またはクラウドコンテナへの保存が可能です。
CodeMeter License Centralは、前処理およびプリント用ライセンスの作成と配布を容易にします。さらに、Webサービスインターフェイスの再活用により、既存のeコマースやCRMランドスケープへのシンプルな統合が可能です。ライセンスは、シンプルなオンラインアクティベーションによる配布が望ましいですが、オンラインへのダイレクト接続に対応していないターゲットシステムや3Dプリンター向けに、ファイル転送ソリューションも利用することができます。
詳細については、ユーザー事例をご覧ください。
関連情報
- ソリューション:3Dプリントモデルの保護(知的財産の保護と収益化の適用)
- CodeMeter:ソフトウェア保護とライセンシングを一緒に実現
- AxProtector:ソフトウェア全体を暗号化するツール(Windows、Linux、MAC OS対応)
- CodeMeter License Central:ソフトウェアライセンスの作成・配布・管理ツール
- ユーザー事例:Daimler Buses/Farsoon Technologies - 自動車産業におけるスペア部品の3Dプリント用データの保護と収益化
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Contributor
Stefan Bamberg
Senior Key Account & Partner Manager
After studying computer science at the Karlsruhe Institute of Technology, he worked in traffic simulation R&D before switching over to IT project management and key account management for large ICT companies. Since 2012, he is active in the Key Account Division of our Wibu-Systems sales force.