ソフトウェアライセンスのことは、専門家に任せるべきか?
2022-10-12 Terry Gaul
「自社開発か外部委託か」- これは、業界や規模に関係なくあらゆる企業が直面するジレンマです。例えば、金属加工メーカーは、新しい部品を製造するために自社でツールを構築する方が費用対効果が高いのか、それとも単にそのサービスを専門とする機械加工メーカーに外部委託する方が良いのか、悩む場面があるかもしれません。また大企業であれば、自社製品に特化した顧客データベースを管理するためにCRMシステムを自社で構築するか、それとも市販のパッケージを購入しニーズに応じてカスタマイズするか、という決断に迫られるかもしれません。そして、ソフトウェア開発業界、特にライセンス管理に関しても同様のジレンマが発生しています。
ISV(独立系ソフトウェアベンダー)と組み込みソフトウェアエンジニアでは、ソフトウェアのライセンシングと保護のために独自のシステムを作成すべきか、それとも信頼できるサードパーティベンダーのプロフェッショナルサービスを用いて商用管理および保護ソリューションを統合すべきかというジレンマがあります。アナリスト企業のFrost & Sullivanは、ある市場レポートの中で、この問題に対する意見を簡潔にまとめています。「社内でのライセンシングシステムの開発は、コストと時間がかかり、リスクが高まる可能性があります。さらに、自社のニーズの変化に対応するために、多大なリソースを継続的に投資しなければなりません。」
いずれにせよ、独自のライセンス管理を構築・維持するべきか、サードパーティのソリューションを使用すべきかを評価するには、市場・ビジネス・技術的な観点から見る必要があります。以下では、これらの観点についてみていきます。
市場の観点
エンドユーザーの働き方は、劇的に変化し、ハイブリッド型勤務(オフィス勤務とテレワークを組み合わせた働き方)が主流となりました。そのような新しい勤務形態において、時間・場所・デバイスに囚われず、アプリケーションへアクセスできることが求められています。そしてIT部門は、アクセスの安全性のみならず、ライセンシング規則の徹底に努めたいと考えています。
また、ソフトウェアの購入方法も変化しています。保険会社から最新のソフトウェアアプリケーションメーカーに至る、あらゆる産業界の消費者にとって、「使用した分だけ支払う」という支払い方法が、一般的となっています。このような使用ベースモデルは、特定のタイプのソフトウェアに人気があります。このトレンドに対応するため、ISVは、ニーズに応じて機能のオン/オフに切り替えたり、ライセンシングと請求のために使用状況の追跡を可能にする必要があります。
加えて、ソフトウェアユーザーは、Microsoftや Adobe、その他大手企業が提供している人気の高いオフィスアプリケーションのような「SaaS(Software as a service)」モデルに慣れてきました。従ってISVは、競合他社に追いつく、また消費者の嗜好や期待の変化に対応するため、ビジネスモデルをサブスクリプションベースや使用ベースのサービスへ移行しなければなりません。
ビジネスの観点
市場や消費者ニーズが変化する中で、ISVは市場の要求に応じて、ビジネスモデル・配布オプション・価格設定戦略を適応させていく必要があります。またソフトウェアの収益化の観点からも、ライセンス管理ソリューションは、開発者が必要に応じて素早く、価格設定・ライセンスモデル、または製品構成を調整し、新たな収益源を確保できるような、十分な柔軟性が求められます。
また開発者は、違法コピーの多大な収益への影響を考え、自社の知的財産(IP)を保護する必要があります。ソフトウェアの著作権侵害、偽造、および改ざんに対するレジリエンスの強化は、非常に重要です。攻撃を防止するには、保護メカニズムの組み込みに加え、最新テクノロジーによる継続的な監視・更新が必要です。
さらにISVは、ライセンシングとエンタイトルメント管理の運用面についても考慮する必要があります。エンタイトルメント管理システムを既存のERP、CRM、およびその他のバックオフィスのプロセスへ効率的に統合するに際し、管理面に注意を向ける十分なリソースはありますか?ライセンシングの作成・配布・管理を行うビジネスプロセスは、自動化され、オフィス環境内でシームレスに動作する必要があります。Frost and Sullivanは、この点について以下のように述べています。「自社開発のソリューションは魅力的ですが、実装と保守に多くのコストがかかります。例えば、新しいライセンスモデルを追加する場合、十分な開発サイクルが必要になるケースがあります。これにより、開発チームへの大きな負担、ロードマップへの影響、新製品リリースの遅れが発生する恐れがあります。」
技術的な視点
エンジニアリングリソースは不足しており、プログラマーは、顧客のニーズを満たす、新しいアプリケーションや機能性を強化したアップデートの開発・発売のみで手一杯です。従って、最新のライセンシングと保護テクノロジーに適応することで、既存のリソースに過度の負担がかかる可能性があります。例えばハッカーは、IPの盗用・違法コピー・ソフトウェア偽造を行うため、日々セキュリティ保護をかいくぐる試みを続けています。そのようなハッカーから自社を守るため、組織は、内部または外部の専門家に関わらず、最新の暗号化・認証・保護メカニズムを統合し、ハッカーの一歩先を行く専門知識を身に着けなければなりません。
もう1つの技術的な検討事項として、顧客にソフトウェアライセンスへのダイレクトアクセス・制御を提供するセルフサービスライセンシングシステムの作成および実装能力が挙げられます。最新のライセンシングシステムでは、エンドユーザとリセラーが、アクティベーションや返却などライセンスプロセス全体の管理を行うことができます。これにより、エンドユーザーによるアクセスが容易になるだけでなく、ISVのライセンス管理負担が軽減されます。但し、ISV側でライセンスポータルを作成・維持するためには、さらなるスキルや専門知識、リソースが必要となります。
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