市場の変革は、ライセンスモデルを再構築するチャンス?
2023-11-21 Marcel Hartgerink
好調なソフトウェアビジネスが、突然ユーザーのビジネス状況が混乱に陥ってしまいました。そんなとき、あなたならどうしますか? ー 具体例を考えてみましょう。ある独立系ソフトウェアベンダー(ISV)が、特定のニッチな市場を主眼にしてソフトウェアソリューションを開発しました。ISVのビジネスも、そのユーザーのビジネスも好調でした。しかし、そんな矢先に突然、ユーザーにはどうすることもできない市場の変化が起こり、そのソフトウェアに対するニーズは急激に低下してしまいました。果たして、そのISVはどうすればよいのでしょうか?
Forbes Technology Councilのメンバーであり、Software Pricing PartnersのマネージングパートナーであるChris Mele氏は、自身の記事「Amid Turmoil, Software Leaders Must Rethink Their Pricing Assumptions」の中で、ソフトウェア産業で何度も繰り広げられてきた、この架空のストーリーの趣旨についてこう述べています。「ソフトウェア産業のリーダーは、混乱を「悲観的」に捉えること無く、むしろライセンシング、価格設定、およびパッケージング戦略の再評価をする良い機会と捉え、状況が好転するまで市場の混乱を乗り切る革新的なソリューションを探すべきである。」と。
そして記事の最後は「市場混乱後もなお、ライセンシング、価格設定、パッケージング戦略に変化が無いとすれば、時代の流れに乗り遅れていると言っても過言では無い。」という言葉で締めくくられています。
では、ISVはどのような価格戦略を検討すべきなのでしょうか。製品のバンドル化、単純なサブスクリプションモデルからフィーチャーオンデマンドモデルへの移行、さらには「使用した分のみ支払う」従量課金モデルなどが考えられます。しかし、ISVがそのような将来を見据えたソリューションを思い描き、ましてやビジネスプロセスを大きく変更すること無く容易に実装するためには、まず、すべての可能性を視野に入れることができる柔軟なライセンシングシステムが欠かせません。
ここではその一つの例として、航空宇宙・自動車産業向けの電動・空気圧アセンブリツールの設計・製造を行うDesoutter Industrial Tools(デソーターインダストリアルツールズ)による創造的なソリューションをご紹介します。このユースケースにおいて、Wibu-Systemsが提供するCodeMeterのソフトウェアライセンシングと保護テクノロジーが使われました。競争が激しい市場において、Desoutter Industrial Toolsは、インダストリー4.0が生み出す新たなユーザーの期待に応えようと、デジタルトランスフォーメーション(DX)を大規模に推し進めようとしていました。
Desoutter Industrial Toolsのハイテクソリューションは、コントローラー、組み込みシステム、ソフトウェアで構成され、これらすべてが完全なパッケージの一部を形成しています。これまでは、各ツールが動作するためには個別のコントローラーが必要でした。しかし今日では、1つのコントローラーが、ワイヤレス接続を介することで、最大20ものツールを一度に制御することが可能になっています。各ハードウェアには、従来の製品ライセンスが付属した独自のソフトウェアが搭載されていましたが、インダストリー4.0の世界においては、あまりにも柔軟性に欠け、扱いにくいものでした。
そこで同社はインダストリー4.0という急速に変化する市場に対応するため、製品の提供方法を根本的に変更しました。固定ライセンスでのソフトウェア販売は終わらせ、その代わりに、革新的なコンセプトを実装し、ユーザーがUnit Value(UV)と呼ばれる特定の予算を動的に割り当てて、必要な機能にのみアクセスできるようにしたのです。このアイデアは非常にシンプルです。ユーザーはUVsを購入し、特定のサービス(例:ネジの締め付け)を利用するために割り当てます。そのサービスが不要になれば、ユーザーはUVsを戻してそれを別のサービスに変換したり、別のツールに再び割り当てたりすることができます。これにより、ユーザーは迅速なオペレーションの再構成が可能になります。
このようにライセンシング方法を変更したことで、ユーザーはオンラインの設定画面で、特定のツールで必要な機能を選択し、必要なUVsを注文することができるようになりました。またUVsは、USBドングルの形式であるeウォレットを介して配布されるため、USBスティックをコントローラーに接続するだけで、サービスを有効化することが可能です。結果としてこのソリューションは、ユーザーに対しては汎用的かつ経済的になり、Desoutter Industrial Toolsに対してはソフトウェアの収益化と、既存/新規顧客との新たなビジネスチャンスをもたらすことにつながりました。
このソリューション自体は、CodeMeterのソフトウェア保護とライセンシングシステムをベースとしつつ、Wibu-SystemsがDesoutter Industrial Tools固有のニーズに合わせて調整しました。CodeMeterは、設計コンセプトの一般的な保護だけでなく、UVsの作成・配布に必要なインフラの処理にも関わっています。
以上のユースケースからも分かるように、一見「悲観的」に見える混乱も、今までに見ない創造的なソリューションで解決できることは少なくありません。上記でご紹介したDesoutter Industrial Toolsのケーススタディの全文はこちらからご覧いただけます。CodeMeterがもつ柔軟なソフトウェアライセンシングと保護システムについても併せてご確認ください。
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Contributor
Marcel Hartgerink
General Manager of WIBU-SYSTEMS NV, WIBU-Systems BV, WIBU-SYSTEMS LTD and WIBU-SYSTEMS SARL
Marcel Hartgerinkは電子工学を学び、1988年にAtari-STコンピュータ用の最初のソフトウェア保護システムを開発。その後、大企業向けの生体認証システムの開発に携わる。技術的なバックグラウンドに加え、革新的なソリューションのマーケティングのエキスパートでもある彼は、現在、WIBU-SYSTEMS NV、WIBU-SYSTEMS BV、WIBU-SYSTEMS LTD、WIBU-SYSTEMS SARLのゼネラル・マネージャーを務め、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フランス、スペイン、ポルトガル、英国、アイルランド、スカンジナビア、バルトにおけるマーケティング、販売、コンサルタント、サポートを担当。