最適なライセンスモデルはどれか?
2022-11-09 Terry Gaul
従量課金のライセンス、サブスクリプション、フィーチャーオンデマンド、および同様のライセンスモデルは、多くの異なる市場において、メーカーに新たなビジネスチャンスをもたらしています。これらはすべて創造的なソフトウェアの提供戦略に基づいています。このようなモデルは、ソフトウェア配布の世界では真新しいかもしれませんが、他の産業では決してそうではありません。例えば、従量課金の料金設定は、多くの従来型ビジネスで標準となっています。消費者は通常、消費したサービスの量(例:水、電気)に応じて公共料金を支払います。使用量は計測され、それに応じて課金される仕組みです。またサブスクリプションサービスは、新聞や雑誌の購読に代表されるように、古くからあるサービスです。
こうしたビジネスモデルや価格戦略は、現在、ソフトウェア産業でも一般化されつつあります。過去20年以上にわたり、ソフトウェア市場では、従来の永久ライセンスから、サブスクリプション、使用ベースなどへと徐々に移行してきました。MicrosoftやAdobeは、サブスクリプションサービスを代表する企業です。Zuoraの2019年版レポートによると、サブスクリプションビジネスはS&P500を構成する企業全体の収益の約5倍もの速さで成長しています。
多くの企業が、新たなフィーチャーベースの提供戦略で試行錯誤を続けています。自動車産業もその一つです。SUBARUは、アプリによるリモートスタート機能に月額料金を課しています。またTeslaは、何年にもわたり、ソフトウェアによる、低価格帯モデルにおけるバッテリー航続距離の人為的な制限を行ってきました。さらにBMWは現在、シートヒーターのサブスクリプションを多くの国で展開しています。同社は、このモデルをファンクションオンデマンドと呼んでいます。BMWのオーナーが所有する車には、すでに必要なコンポーネントがすべてインストールされていますが、それら機能にはブロックがかかっています。従って、オーナーはそのブロックを解除するためにお金を支払わなければなりません。しかしながら、オンラインコミュニティネットワークであるRedditに投稿されたコメントからも分かるように、このモデルは、消費者からかなりの論争と反発を巻き起こしているようです。
このような新しいソフトウェアの提供モデルを、いつ、どこで、どのように導入するかは、エンドユーザーのビジネスニーズや用途、および購買志向に沿う必要があり、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)にとって悩ましい問題です。ただ一つ重要なことは、消費者に受け入れられる最適なライセンシング戦略を構築・展開することのできる柔軟なライセンシングシステムの用意です。
当社の顧客であるソフトウェアベンダーが、CodeMeterライセンシングプラットフォームを活用し、創造性を駆使してソフトウェアを収益化した事例をご紹介しましょう。
フランスのDesoutter Industrial Tools社は、電気・空気圧アセンブリツールを設計・製造している会社です。Desoutterは、顧客に多用途性を提供することで、自社のソフトウェアを収益化する方法を見つけました。同社の工具は、コントローラー、組み込みシステム、およびソフトウェアを組み合わせたものです。すべてのハードウェアは独自のソフトウェアを搭載しており、従来の製品ライセンスが付属していたため、今日においては厳格で扱いにくいものでした。そこで同社は、顧客がいつでも必要な製品の機能とサービスだけを利用できるクレジット、Unit Values(UVs)という革新的なアイデアを導入しました。あるサービスが不要になった場合は、顧客はUVsを戻して後に別のサービスに変換したり、別のツールに再び割り当てたりすることが可能です。このアプローチにより、顧客は利用可能なUVs、例えばワークステーションを別の目的のためにすぐに再展開することができます。CodeMeterは、管理を容易にし、UVsの購入およびソフトウェアの適切な収益化における電子プロセスを保護します。
医療機器の分野において、Fritz Stephanは、ベンチレーター、麻酔、酸素供給における専門技術ソリューションの開発企業です。同社のEVEベンチレーターファミリーは、緊急の治療現場から集中治療室へ患者の移動を支援する3つのモデルで構成されています。EVETRは主に緊急時や輸送中に使用され、EVEINは病院内での患者向けの本格的な集中治療用ベンチレーターであり、EVENEOは新生児ユニット用の集中治療用ベンチレーターです。CodeMeter License Centralのインターネット版では、拡張性のあるライセンスモデルを構築し、機器販売後の利益を生み出し、顧客に応じた販売モデルを作成することができました。基本的には、お客様が最初に購入したデバイスは同じですが、販売先の国に関係なく、現場でアップグレード可能です。
これらは、最新のソフトウェアライセンシング戦略を活用し、新たなビジネスチャンスを開拓し顧客の満足度を向上させた事例の一部に過ぎません。新しいライセンスモデルの採用をご検討されている方は、ウェビナー、Keynoteマガジン、ユーザー事例、およびその他リソースをご覧ください。貴社のビジネスに適したライセンスモデルの選択、その展開方法を判断する上で役立ちます。CodeMeterのプラットフォームは、すべてのライセンシング戦略に対応可能です。コードを変更する必要はありません。現行の戦略、そして貴社の顧客と販売チームが思い描く将来戦略の両方に対応することができます。