欧州の薬剤師向け業務支援システムを支えるCodeMeter
2023-06-29 Stefan Bamberg
昨今、薬剤師たちは多くの困難に直面しています。最近では、薬剤師は、仕事量の増加や限られたリソース、時間、人員配置によって、大きなプレッシャーにさらされていることが報告されています。例えば、新型コロナウィルスの世界的大流行を受け、多くの薬局では、処方箋の記入や調剤という本来の業務に加え、ワクチン接種やその他医療サービスの提供などを強いられることとなりました。そして、このような追加業務は、今後さらに増えていくだろうと予想されています。実際にイギリスでは、ガーディアン紙が報じたように、特定の急性疾患(例:耳痛、喉の痛み、副鼻腔炎、伝染性膿痂疹、帯状疱疹、虫刺されに伴う感染症、女性特有の合併症を伴わない尿路感染症(UTI))などに対して、患者が初診の際に医師や看護師を受診しなくても、薬剤師が薬を処方できるようにする案が浮上しています。また、フランス、ドイツ、その他EU諸国のような規制の厳しい医薬品市場では、トレーニングを積んだ薬剤師が営むことのできる薬局の数を制限するなど、調剤を許可される薬剤師に制限が設けられているため、薬剤師の職務遂行に大きなプレッシャーがかかっています。
さらにワシントン・ポスト紙では、小売店で不可欠な薬剤師の雇用が確保されず、大手チェーン店の多くで勤務時間が短縮されていることが、薬局でのサービスのばらつきやミスの発生を生んでいると指摘しています。
薬剤師という職業では、ミスが人々の命を奪うおそれもあり、現在の状況は決して好ましいとは言えません。しかし同時に、カスタム処方箋の調剤プロセスを合理化し、薬剤師のプレッシャーを軽減するテクノロジーソリューションに対する差し迫ったニーズが生まれていることも確かです。
そこで、欧州の医療従事者にソリューションを提供するオランダのBIC Medical社は、革新的な調剤システムにより、この問題に対処しました。同社のMed2Morrowシステムは、複雑なハードウェアと洗練されたソフトウェアを組み合わせ、カスタム処方箋に対応した薬の分類と調剤を行います。このシステムには500個以上のモーターが搭載されており、適切な錠剤を選択し、分類し、袋やブリスタートレイに充填するようプログラムされています。
患者の命とビジネスモデルの信頼性を守るため、ハードウェアの機能を制御、調剤された医薬品を追跡する高度なソフトウェアが、システムの中核に組み込まれています。Wibu-Systemsが提供するCodeMeterがもつライセンシング・保護ソリューションにより、最重要課題であるIP(知的財産)保護が可能となりました。
BIC Medicalは、現場でのライセンスコンテナとしてCmDongleを使用し、CodeMeterによる保護機能を統合しました。薬剤師は、オフライン環境でMed2Morrowシステムを利用するため、これは必要な場所にライセンスを届ける上で最適なオプションでした。さらに、システムのユーザー顧客は、CmDongleに関連付けられた適切なライセンスを持つ調剤機器のみを使用することができます。システムは使用状況を詳細に追跡し、不正使用や改ざんからシステムを守るだけでなく、請求やメンテナンスのプロセスを合理化するために、調剤された薬の量を記録します。またユーザー顧客は、機械の操作時間や処理された錠剤の数に応じて料金を支払います。
本ユースケースにおいて特質すべき点は、Med2Morrowシステムがオフライン環境で運用されているということです。ライセンスは、CmDongleに入っているため、システム保守が簡素化されています。また同社のサービス技術者は、必要に応じて、現場でソフトウェアやファームウェアの更新を行うことができます。さらにハードウェアのライセンスは保守契約とセットになっているため、システムを使用する薬剤師は機器の保守について心配する必要はなく、代わりに、本来の業務である患者へのサービス提供やアドバイスに集中することが可能です。
ユーザー事例の詳細は、こちらです。