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ソフトウェアライセンスの課題とトレンド
2023-12-19 Stefan Bamberg
今年も、業界として挑戦と成功に満ちた一年となりました。弊社では、権威あるインダストリーアワードの受賞、数多くの新製品やアップデートのリリース、ユーザーやパートナーとの数々のコラボレーションの実現など、さまざまな出来事がありました。これらはすべて、創造的なライセンシング戦略とプログラムコード保護メカニズムによる、知的財産(IP)の保護を目的としています。しかし、IP保護が進んだとはいえ、コネクテッドデバイス、スマートインダストリー、AI、その他次世代テクノロジーが急速な進化を遂げるこの世界では、IPの盗難、重要データの漏洩、サイバー犯罪、さらには人間の安全までを脅かす存在など、新たな悪質な手口が次々と生まれており、油断は禁物です。このような状況を踏まえ、私たちはこれからも、常に先を見据え、2024年以降の業界トレンドや動向を予測し、ライセンシングと保護の技術で最前線に立ち続けることをお約束します。
以下では、弊社が特に注視している今後の業界・テクノロジーのトレンドをいくつかご紹介します。
- サブスクリプションライセンス:エンドユーザとISV(独立系ソフトウェアベンダー)の双方にとって、サブスクリプションモデルの魅力は増しています。エンドユーザにとって、より安価な初期費用と製品の継続的なアップデート、安定した収益源の確保は欠かせません。一方ISVとスマートシステムメーカーは、柔軟なライセンシングシステムを求めています。
- クラウドベースのライセンス:私たちの身の回りには、クラウドが多く存在しています。SaaS(Software as a Service)が、ペイ・パー・ユーズモデル、サブスクリプションモデル、使用量ベースモデルなど新たな収益獲得の道を切り拓くなか、ソフトウェア開発者の間では、クラウドの展開に合わせたライセンスモデルが注目を集めています。クラウドへのアプリケーションの移行を目指すソフトウェア開発者にとって、クラウド上でライセンスをセキュアに保管・管理する機能は欠かせません。
- ハイブリッドワークへの対応:自宅で働くテレワークと、出社して働くオフィスワークとを組み合わせたハイブリッドワークは今後も続いていくことが予想されます。このような環境下で、 ライセンシングの柔軟性は必要不可欠であり、ライセンスの可用性・セキュリティ・コンプライアンスの促進につながります。さらにISVにとって、この新しい働き方は、ソフトウェアライセンシングの在り方に注意を向けるきっかけとなりました。自宅やオフィスなど場所を問わず、いつでもソフトウェアライセンスへ安全にアクセスできる柔軟なライセンシングシステムは、今や無くてはならないものになっています。
- ライセンスのカスタマイズ:アプリケーションの中には、ユーザー固有の環境に合わせてカスタマイズされたソフトウェアライセンスが必要となる場合があります。これもまた、ライセンシングの柔軟性が必要となる場面と言えます。
- 機械学習(ML)とAI: 多くの産業界でMLやそれを含むAIが普及するにつれ、膨大な量のデータが生成され、攻撃対象が拡大するリスクは否めず、データセキュリティやプライバシーへの懸念が高まっています。これに伴い、高度な暗号化技術や認証プロトコルをはじめとするセキュリティー・バイ・デザインが今後浸透していくことでしょう。
- 産業のデジタルトランスフォーメーション(DX):コネクテッドマシン、ロボット、スマートファクトリーなどクラウドの進歩により、産業オートメーション業界は今、大きな変革を迫られています。ソフトウェアは、主機能の制御、データの収集・分析に不可欠であると同時に、リバースエンジニアリング、コード複製・改ざん、偽造(製品の違法コピー)など、悪意ある攻撃に対して最も脆弱な部分の1つでもあります。従って、次世代のソフトウェアには、セキュリティ、レジリエンス、信頼性の全てが欠かせません。
- エッジデバイスのセキュリティ:エッジコンピューティングは、多様なアプリケーションで使用されています。関係するすべてのシステムが常にオンライン上にあるとは限りません。そのため、インターネットへの接続が途切れたとしても、安全にライセンス条件を実行できる仕組みが必要です。このように、エッジデバイス上で動作するアプリケーションを開発する場合、実際の運用においてIPとライセンスを保護するメカニズムの検討が不可欠です。
- アディティブマニュファクチャリング(AM)におけるデータ保護:技術の可能性を最大限に活用しようと、さまざまなMLやAIのアルゴリズムを3Dプリンティングプロセスに連携するメーカーが増えています。機械学習の過程で生まれた学習済みプリンティングモデルはメーカーのIPであり、不注意による改ざんや意図的な攻撃から保護されなければなりません。さらに、IPの違法コピーにより似たシステムを構築しようとする模倣品業者や、システムを不正操作しようとする妨害者も存在します。このような者たちによる盗用や違法コピーからIPを保護しつつも、使用・加工・再加工におけるステークホルダーの利便性を妨げないことが重要です。
- 仮想環境におけるライセンス:コンテナ化は、仮想環境で複数のアプリケーションを実行するためのツールとして人気を集めています。現在、コンテナを介してアプリケーションを作成・デプロイ・管理するプラットフォームとして、DockerとPodmanが広く使われています。また、Kubernetesのような、コンテナホストのクラスタを管理するオープンソースフレームワークは、組込み分野で人気を集めています。しかし、コンテナ化にも、ソフトウェアライセンシングに関する課題があります。仮想化によって、接続されたネットワーク外で、異なるプラットフォームを独自の方法で扱うことが容易になる一方、ライセンシング目的でCmDongleのようなセキュアなハードウェアエレメントを取り付けることは困難です。従って、仮想環境でIPの保護・収益化を目指すには、可搬性のあるCodeMeterライセンスサーバーをベースにした、ライセンシングソリューションがおすすめです。
以上は、2024年以降に訪れるであろう課題のほんの一部に過ぎません。Wibu-Systemsは、ISVやソフトウェアベンダーのIPを全力で保護すべく、常に時代の先端を走り、独創的なソリューションをお届けすることをお約束します。
2024年も皆さんにご多幸と成功がもたらされますようお祈り申し上げます。
関連情報
- ホワイトペーパー:『CodeMeter in Virtual Environments:仮想環境でのCodeMeterの使用』
- ソリューション:3Dプリントモデルの保護(知的財産の保護と収益化の適用)
- ユーザー事例:Daimler Buses/Farsoon Technologies – ドイツ/中国 – 自動車スペア部品の3Dプリント用データの保護と収益化
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